過去30年のMLBに「打率.350以上で首位打者になれなかった打者」は14人。そのうち2度はイチロー
1990年以降の30年間に、シーズン打率.350以上を記録したメジャーリーガーは、延べ37人を数える。この人数に、1996年のトニー・グウィンは含めていない。打率.353ながら規定打席には届かず、不足分の4打席を4打数0安打として加えると、打率は.349となる。それでも、グウィンはエリス・バークスの打率.344を凌ぎ、首位打者を獲得した。
一方、打率.350以上の延べ37人中14人(37.8%)は、首位打者を逃した。1997年のマイク・ピアッツァに至っては、打率.360以上にもかかわらず、ナ・リーグ3位に終わった。ちなみに、MVP投票の順位は、打率2位のラリー・ウォーカーが1位、3位のピアッツァが2位、首位打者のグウィンは6位だった。
ピアッツァは、キャリアを通して一度も首位打者を獲得していない。ジェフ・バグウェル、アルバート・ベル、モイゼス・アルー、ダリン・アースタッドも同様。なかでも、アースタッドは、打率.300以上のシーズンさえ、2000年の1度きりだ。もっとも、オールスター・ゲームに2度選出され、ゴールドグラブを3度受賞している――どちらも連続ではない――ことからもわかるとおり、アースタッドは1シーズンだけの「一発屋」ではなかった。
イチローは、打率.350以上の4シーズン中、.350(.3497…)の2001年と.372の2004年に首位打者となり、.351の2007年と.352の2009年はタイトルを逃した。それぞれ、打率ランキングの上には、マグリオ・オルドニエスとジョー・マウアーがいた。2人とも打率.350以上のシーズンは他にないが、マウアーは2006年と2008年も首位打者を獲得した。
なお、冒頭の、過去30年間にシーズン打率.350以上は延べ37人……は、間違いではないものの、実は正確さに欠ける。2011年以降の9年間は、打率.350以上で首位打者を逃した選手どころか、打率.350以上の首位打者すら途絶えている。現時点では、2010年に打率.359を記録したジョシュ・ハミルトンが、最後の打率.350以上だ。
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