Yahoo!ニュース

米スタバ、サードプレイスの次は「パワースポット」?

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
テーブルに内蔵されているPowermat。専用レシーバーは店舗に備え付けてある

スターバックスは「サードプレイス」というコンセプトがありましたが、時間の過ごし方の耐用性はスマートフォンのせいで狭まっているかもしれません。だったら、と選ばれた店舗に導入されているのが、DuracellのPowermatです。

コミュニティテーブル席や写真のような窓際のカウンターに、Powermatのアタッチメントがぶら下がっています。自分のスマートフォンの充電にフィットするレシーバーをとって装着し、丸いわっかの部分をテーブルやカウンターのマットに載せれば充電が始まります。

完全に設置していなくても充電してくれて、テーブルの上で音楽を聴きながらパソコンで原稿を書く、という使い方は問題なく利用する事ができました。ただ、メールを見るために端末を机から持ち上げたりすると、充電はそこで止まってしまいました。

Powermatに対応するレシーバー。1つ10ドルで購入することもできる。
Powermatに対応するレシーバー。1つ10ドルで購入することもできる。

Powermatは、無接点充電を行うことができる仕組みで、PMAという長年取り組んでいる規格に準拠しています。無線充電で最大のグループはQiで、日本でもQiの無線充電を採用したスマートフォンやバッテリーを目にすることができます。

いずれの規格にしても、専用のマットなどの給電するためのデバイスと、規格に対応したスマートフォンが必要になります。既に実用化されている技術ですが、今ひとつInitiativeが取れず、方向感が出てこない、そんな状態です。あるいはこの技術も「Apple待ち」みたいなところがあるのでしょうか。

ちなみにAmazon.comを見ると、給電用のマットは50ドル前後で手に入れることができ、充電するためのレシーバーもいくつか付属してきます。給電場所は3箇所のものが良いかな、と思います。

さて。

前述の通り、今ひとつ確固たる方向感が出てこないこの技術。Powermatは、公共空間で利用できる場所を増やしていこうという取り組みを始めています。その結果が、Starbucksのテーブルに仕込まれたPowermat、というわけです。

店舗にはいくつかのレシーバーが用意されていますが、AT&Tのオンラインショップで自分のレシーバーを購入することもできます。15ドルのところ、割引で10ドルになっていましたが、残念ながら品切れでした。

サンフランシスコ周辺・ロサンゼルス・ニューヨーク・ボストンで対応が進む
サンフランシスコ周辺・ロサンゼルス・ニューヨーク・ボストンで対応が進む

サンフランシスコ周辺とボストンはStarbucks、ロサンゼルスはCoffee and Tea Leaves、ニューヨークはマクドナルドとデルタ航空のラウンジ、といった具合で米国でも場所を限定して展開をしています。

前述の通り、Powermatは、ケーブルがこんがらがることなくスマートなテーブルの上でそのまま充電することができ、かなり好感触でした。ただ、端末を持ち上げれば、当然充電は止まります。もしバッテリーがピンチの際は、極力テーブルに端末を置きっ放しにすべきでしょう。

となると、スマートフォンを使う以外の他のことをしながら時間を過ごす事になるはずです。そうなると、スマホユーザーであふれるカフェの風景は少しずつ変わってくるかもしれません。

Powermat | Wireless Charging Solutions

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

松村太郎の「情報通信文化論」

税込330円/月初月無料投稿頻度:月4回程度(不定期)

米国カリフォルニア州バークレー在住の松村太郎が、東京・米国西海岸の2つの視点から、テクノロジーやカルチャーの今とこれからを分かりやすく読み解きます。毎回のテーマは、モバイル、ソーシャルなどのテクノロジービジネス、日本と米国西海岸が関係するカルチャー、これらが多面的に関連するライフスタイルなど、双方の生活者の視点でご紹介します。テーマのリクエストも受け付けています。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

松村太郎の最近の記事