クラブチーム王者に返り咲いた和歌山箕島球友会!もと阪神・穴田選手も感無量
9月4日から西武プリンスドームで開催された『第40回 全日本クラブ野球選手権大会』は、西近畿地区代表・和歌山箕島球友会の2年ぶり3度目の優勝で幕を閉じました。2013年まで3年間、阪神タイガースに在籍していた穴田真規選手は昨年から箕島球友会に入り、西武ドームでの本大会を初体験したものの2回戦で敗退。しかも自身の打撃が不調だったこともあり、今季はそのリベンジを誓っての本大会です。
7日の最終日は準決勝と決勝の計3試合が行われ、和歌山箕島球友会は準決勝2試合目で勝って決勝に進出したため、試合後の取材は決勝と表彰式がすべて終わってからでした。一番苦しかったであろう準決勝の取材はできていませんが、決勝と表彰式のあと少し話を聞けたので、それは次の記事でご紹介します。笑顔いっぱいの、嬉しい表彰式の写真と一緒に。
ということで、ここでは準決勝と決勝の2試合について、成績と経過を書かせていただきます。準決勝の相手は本大会初出場、監督地区代表の千葉熱血MAKING。2006年に現・千葉県知事の森田健作さんが設立し、2009年から監督兼任となった河野和洋選手(明徳義塾の投手、松井秀喜選手の5打席連続敬遠で思い出される方も多いでしょう)が4番を打っています。
4試合で一番苦しかった準決勝
第40回 全日本クラブ野球選手権大会
9月7日 (西武プリンスドーム)
《準決勝》
千葉熱血MAKING-和歌山箕島球友会
千葉 012 000 000 = 3
箕島 000 000 121x = 4
◆バッテリー
【箕島】桐原-○北面 / 水田
【千葉】●中山(7回2/3)-樫尾(1回) / 宮沢
◆本塁打 千葉:渡邉、鷲崎(桐原)
◆二塁打 箕島:水田、千葉:宮沢
◆箕島:打撃 (打-安-点/振-球)
1]右:平井 ( 5-1-0 / 1-0 )
2]二:高橋孝 ( 3-1-0 / 0-1 )
3]指:林 ( 4-0-0 / 1-1 )
4]一:岸 ( 4-2-0 / 0-1 )
5]三:穴田 ( 5-1-0 / 0-0 )
6]捕:水田 ( 3-2-3 / 0-2 )
7]遊:西口 ( 2-0-0 / 0-1 )
8]中:浦川 ( 4-2-1 / 0-0 )
9]左:野田 ( 3-1-0 / 1-0 )
〃打:北 ( 1-0-0 / 0-0 )
〃左:木村 ( 0-0-0 / 0-0 )
◆箕島:投手 (安-振-球/失-自)
桐原 3回 64球 ( 7-1-0 / 3-3 )
北面 6回 74球 ( 4-4-0 / 0-0 )
試合経過
先発の桐原は2回にソロ、3回に2ランを浴びて3対0とリードを許します。しかし4回から登板した北面は6回まで、毎回の4安打を許しながら要所を締め無失点。ところが快音を響かせる相手に比べ、箕島打線は1回に高橋孝の内野安打、3回は野田の左前打、4回は岸の右前打、5回に水田の左前打と、1本ずつヒットを放つも二塁すら踏めない展開でした。そうやく6回、四球と相手エラーで2死二塁と初めて得点圏に走者を置きますが、穴田は一邪飛…。
しかし7回、北面が初めて三者凡退に斬って取り(先頭の1番・村山が放った三遊間への打球を、サード穴田が好捕してランニングスロー!いいリズムを作っています)、その裏に反撃開始。先頭の水田が四球を選び、西口が送って1死二塁、続く浦川が左前タイムリー!まだ2点差はあったものの、ここで一気にムードが変わりました。
8回も4番からをピシャリと抑えた北面。その裏は高橋孝が相手エラーで出塁、林の併殺打で2死ランナーなしとなりますが、ここからです。まず岸が中前打、穴田も中前打で続き、水田がこの2人を還す右中間へのタイムリー二塁打!さらに西口が死球を受け、代わった投手から浦川が左前打と攻めましたが、代打・北は左直(素晴らしい当たり!)で攻撃終了。それでも追いついた箕島ベンチはもう逆転を確信したような勢いです。
9回を北面がまたも三者凡退で締め、その裏は先頭の平井が中前打、高橋孝の犠打と平井の三盗で一、三塁。林の敬遠気味の四球、岸は敬遠の四球で1死満塁。続く穴田はバットを折るファウルや、相手ベンチに飛び込むファウルなどカウント2-2とした6球目を打って遊ゴロ、ホームへ送られて平井がタッチアウト。決めて欲しかったのは確かですが、それでもまだ2死満塁でチャンスは続きます。
次の水田は2球で追い込まれるも3球ボールを見て、フルカウント。そして7球目、際どいコースに来た球を水田は見送り、バッテリーは三振と思った様子。しかし球審の手は上がりません。水田は勢いよく一塁へ向かって、三塁から林が生還!押し出し四球でサヨナラ勝ちの箕島が、決勝進出を決めました。
昨年の覇者を破って王座奪回!
サヨナラ勝ちの余韻よりも疲れが見て取れる箕島ベンチ。1回戦から続く接戦の、さらに上をいく苦しい展開だった準決勝が終わって36分後、同じ一塁側ベンチと同じ白のユニホームで決勝戦が始まりました。
和歌山箕島球友会はスタメンも同じ、そして準決勝はキャッチボールこそしていたものの登板せずに済んだエース・寺岡投手が先発です。とはいっても117球を投げて完封勝ちしたのは前日のことで、その前日の1河川もリリーフで3イニング強投げています。蓄積した疲れは相当なものだったでしょうねえ。
もうひとつのヤマガタを勝ち上がってきたのは、関東地区代表の茨城ゴールデンゴールズ。ご存じ萩本欽一さんが2005年に設立し、監督も務めていた“欽ちゃん軍団”です。片岡安祐美選手が監督兼任となった昨年、優勝を果たしました。ということで前年と一昨年のチャンピオン対決になります。
第40回 全日本クラブ野球選手権大会
9月7日 (西武プリンスドーム)
《決勝》
茨城ゴールデンゴールズ-和歌山箕島球友会
茨城 100 010 000 = 2
箕島 000 003 40X = 7
◆バッテリー
【箕島】○寺岡 / 水田
【茨城】丸山(5回2/3)-山本武(1回)-岩田(1回1/3) / 樋口
◆三塁打 箕島:平井
◆二塁打 茨城:佐々木
◆箕島打撃 (打-安-点/振-球)
1]右:平井 ( 4-3-3 / 0-1 )
2]二:高橋孝 ( 5-1-0 / 1-0 )
3]指:林 ( 2-0-0 / 1-0 )
〃打指:岸田 ( 3-0-0 / 0-0 )
4]一:岸 ( 5-2-0 / 0-0 )
5]三:穴田 ( 2-0-0 / 0-1 )
6]捕:水田 ( 4-0-0 / 0-0 )
7]遊:西口 ( 2-0-0 / 0-2 )
8]中:浦川 ( 3-1-1 / 0-1 )
9]左:野田 ( 3-3-3 / 0-1 )
◆箕島投手 (安-振-球/失-自)
寺岡 9回 110球 ( 6-8-1 / 2-2 )
試合経過
まず寺岡が1回、先頭に四球を与え、盗塁と次の二ゴロで1死三塁として3番・岩田にタイムリー内野安打。先に失点しました。2回、3回と1本ずつヒットを許しながらも0点に抑え、4回は三者凡退。しかし5回に先頭の8番・久保田に右前打され、犠打で1死二塁として1番・札に中前タイムリー。2点目が入ります。
相変わらずスロースタートの箕島打線は、決勝でも同じ。1回は三者凡退、2回は内野安打の岸を穴田が送り、水田の遊ゴロで2死三塁となりますが無得点。3回は野田、平井、高橋孝の3連打で1死満塁のチャンスを作るも後が続かず…。4回は三者凡退、5回は2四球のみ。でも、ここからなんですよ!3日間見ていたら、だいたいわかりますね(笑)。それに前の3試合とは違い、先制されていても、連打がでなくても“いけるんじゃないかな~”という不思議な感覚がありました。結果論でも何でもなく、そういう予感がしたのは事実ですね。
寺岡が2死から二塁打を許すも0点に抑えた6回。その裏は岸が左前打、穴田は1球ファウルしたあとバントの構えでファウル、3球目でキッチリ送ります。水田が遊ゴロ、西口は死球で2死一、二塁となって浦川がまず中前タイムリー!なおも一、二塁で野田の右前タイムリーで1点差!2死一、三塁となって代わった投手から平井がタイムリー内野安打、これで同点です!
さらに7回は穴田の四球、西口の2打席連続四球、浦川の四球で2死満塁として野田が右前タイムリーを放ち、2者生還!勝ち越しました。なおも2死一、三塁で平井が、今度は左中間越えのタイムリー三塁打!もう2人も還してこの回4点を追加。8回は1死から岸がショートのエラーで出ますが、穴田は一直で併殺。あらら…。
寺岡は7回以降、パーフェクトピッチング!9回には4番と5番を連続三人に仕留め、最後は遊ゴロで三者凡退でした。6安打2失点、奪った三振は8個、与えた四球は1個、110球を投げ見事な完投勝利です。
これで2年ぶり3度目の優勝を果たした和歌山箕島球友会。1回戦からすべて後攻で、1対0というスコアだった2回戦を除く3試合は逆転勝ちでした。もちろん大量リードで逃げ切れば楽なんでしょうけど、接戦につぐ接戦で身についたものは大きいと思います。必ず先々の試合で、大会で生きてくるはず。この粘りと執念を、私はずっと忘れません。諦めないことが何よりも強いんだと教えてもらいました。出場権を獲得した『第40回 社会人野球日本選手権』でも、その強さをぜひ見せてください!
試合後には和歌山箕島球友会と準優勝・茨城ゴールデンゴールズによる表彰式が行われました。その模様は次の記事で、選手のコメントや写真とともにご紹介します。