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北海道で、犬のためにストーブをつけた留守宅が全焼し2匹の遺体発見...ペットの寒さ対策は?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:Panther Media/アフロイメージマート)

大阪は残暑が厳しく、エアコンがフル回転中です。そんな中、北海道の中標津町(東部、釧路市の北側)で、寒いので留守中の犬のために、ストーブをつけていた住宅が全焼し、犬が2匹遺体で発見されたというニュースが流れてきました。亡くなった犬のご冥福をお祈りし、そして、火事に遭われた家族のみなさんに、お見舞い申し上げます。まだ、国内では暑いところが多いですが、このニュースから留守のとき、ペットの寒さ対策をどうするか? を考えましょう。

 北海道中標津町の住宅で火事があり、家の中から犬2匹の死骸が見つかりました。

(略)

 この家では男性と妻の2人に加え、ペットとして犬のパグとミニチュアダックスフントが生活していました。

 警察によりますと、男性と妻は1日から旅行に出かけていて、その間隣りに住む息子夫婦に犬の世話を頼んでいたということです。

 2日朝息子の20代の妻が犬を散歩させた後、午前6時30分ごろに、1階居間にあった煙突付きの反射式灯油ストーブに点火。

 上には洗濯物が干してあり、警察はストーブ周辺の燃え方が激しいことから、ストーブが火元とみて調べています。

 2日朝の中標津町の最低気温は14.2度で、妻は「犬が寒いと思ってストーブをつけた」などと話しているということです。

出典:「犬が寒いと思って…」散歩後ストーブつけ炎上か…住宅全焼 焼け跡から"死んだパグ"など犬2匹見つかる

記事をざっくりとまとめると、北海道の中標津町では、9月に入って最低気温がもう14.2度になっています。飼い主は旅行中で、隣りに住んでいる息子さんのお嫁さんが、犬の世話をして「犬が寒い」と思ってストーブに点火。すると、目を離した隙に住宅は全焼、留守宅にいた2匹の犬が遺体で発見されたというものです。ストーブの上に洗濯物があり、その辺りが出火原因だと見られています。

このような惨事が起こらないように、したいですね。筆者が想像するところ、お嫁さんは、犬が好きで、犬が寒いだろうと、配慮してこのような事態になって、たいへん後悔されていると推測します。それでは、留守のときに、犬や猫の寒さ対策をどうすればいいのでしょうか。

留守中の室内での寒さ対策

寒さに慣れている北海道のみなさんでも、猛暑からの急激な温度変化は身体に応えますよね。犬や猫も同じように体調を崩しやすいです。また、本州は、まだ残暑が厳しいですが、秋、さらに冬はそのうちにやってきます。留守中に安全で事故のない寒さ対策を考えましょう。

秋の留守中の寒さ対策

暖房をつけるほどでもないけれど、肌寒いときは、以下のようにしてください。

・服を着せて留守番をさせましょう。

撮影筆者 犬の服 これ一枚でも暖かい。
撮影筆者 犬の服 これ一枚でも暖かい。

人でも肌寒いと、カーディガンなどを羽織ります。そのような感覚ですね。特に、チワワ、シニアの子、痩せている子は寒さに弱いです。

・敷物をふかふかの暖かいものに模様替えをしましょう。

・犬や猫が、ハウスに入って寝る子は、それも冬仕様にするといいですね。

冬の留守中の寒さ対策

留守中に、家に人がいないと寒いですね。室温が下がりすぎると、犬や猫は、病気になりやすくなる子もいます。猫の場合は、オシッコが出にくい、下部尿路疾患になる子もいます。快適な室温で暮らす犬猫は、病気になりにくいですね。その一方、石油やガスストーブをつけて、火事になるとたいへんです。その辺りに気を配りましょう。

・湯たんぽを複数置いておく。

湯たんぽがない場合は、頑丈なペットボトルに60度ぐらいの湯をいれて、フリースなどの布で巻いておきましょう。そうしないと低温火傷をします。

・留守中は、やはりエアコンが一番安全でいいですね。

火事の心配がないし、一定の温度に保たれます。

・床暖房のある家は、それをつけておく。

・ペット用のカーペットをつける。

配線を噛む子がいます。そのような子は、感電事故などが実際にあります。気をつけないといけません。どのようにすればいいのでしょうか。そのような犬猫をサークルに入れておいて、配線に届かないようにしておいてくださいね。

・服や敷物を秋よりさらに暖かいものに替えましょうね。

撮影筆者 去年、人気だったヒートテックの毛布
撮影筆者 去年、人気だったヒートテックの毛布

2019年に発売され、品薄状態だったユニクロのヒートテックの毛布。SNSでは、布団から出たくなくなるので、「人間をダメにする毛布」と話題になっていました。これを敷くだけでずいぶんと暖かくなります。

まとめ

テレワークが終わって通常通りに働いている人も多くなっていると思います。そうなると、犬猫は、留守番をすることになりますね。留守中、何か事故を起こしそうなリスクのある子(よく何かを齧る、飲み込むなどの子)は、ケージに入れておくのがいいですね。

24時間、ペットと一緒にいてずっと見ていることは、難しいです。ただ、いろいろと配慮しなければ、という意識を持っていれば、ある程度、事故は防げると思っています。残暑の中、秋や冬に向けてペットの寒さ対策を考えるのも大切なことですね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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