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イチロー氏の愛犬「一弓」くんの血縁の「姫弓」ちゃんと「天朗」くん...MLBと犬との絆

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

22日と23日に放送された「情熱大陸 2夜連続スペシャル」では、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏が特集されました。その中で、彼の愛犬である柴犬「姫弓(ききゅう)」ちゃんと「天朗(てんろ)」くんが紹介されました。この2匹は、先代の愛犬「一弓(いっきゅう)」くんの血縁にあたります。

犬好きの間では、「イチロー氏は現在も柴犬を飼っている」という話題が広がりました。イチロー氏と愛犬たちとの暮らしを通じて、MLB(メジャーリーグ)と愛犬との関係についても考えてみましょう。

イチロー氏の愛犬一弓くん

【全編】イチロー選手が引退会見「後悔などあろうはずがない」(2019年3月21日)THE PAGEより

イチロー氏は愛犬家として知られており、2002年から米国で柴犬の一弓くんを飼っていました。一弓くんは、2019年3月の同氏の引退を見届け、その年の夏に約18歳で息を引き取り、天寿を全うしました。日本の犬の平均寿命は約15歳とされており、それと比較しても一弓くんは長寿の犬でした。

日刊スポーツはイチロー氏と一弓くんの関係について、以下のように報じています(上記の動画では44分ごろに一弓くんの話が登場します)。

イチロー氏は19年3月の引退会見で「一弓」への感謝を口にしていた。当時18歳の愛犬の姿に、「さすがにおじいちゃんになってきて、毎日フラフラなんですけど。懸命に生きてるんですよね、その姿を見てたら『俺、頑張らなきゃ』って。ジョークじゃなくて本当に思いました。まさか最後まで一緒に、僕が現役を終えるときまで一緒に過ごせるとは思っていなかったので、これは大変感慨深いですね」と話していた。

現在のイチロー氏の愛犬たちは一弓くんの血縁の姫弓ちゃんと天朗くん

イチロー氏は、新たに一弓くんと血縁関係にあるメスの姫弓ちゃんとオスの天朗くんを迎え入れています。22年8月のイチロー氏のマリナーズ殿堂入り式典で、ビデオメッセージが流れていました(上の動画)。

そこで、イチロー氏の姫弓ちゃんと天朗くんが登場。2匹は19年8月に死んだ一弓の祖父にあたる「長天坊」くんの血を継ぐ姉弟。

2匹がほえている映像に字幕で「いつも『グッドボーイ、グッドガール』と言ってくれるね。今日は僕たちが『グッドボーイ』って世界に叫ぶ番だ。あなたはマリナーズの殿堂入りメンバー。僕たちの誇りだよ。今夜は多めのおやつをくれる?」と、愛犬から“メッセージ”を贈られたと日刊スポーツは伝えています。

「情熱大陸」では、イチロー氏は天朗くんを抱き抱えると「抱っこされるのが好きみたいで。すごく人懐っこいです」と説明。続いて“姉”の姫弓ちゃんについては「大学だと慶應大学卒業だと思います」と妻・弓子さんの卒業大学の名前を出し、「(妻に)よく似ていると思います。お転婆だけど、全部わかっていて、賢いんですね」と明かしたとFull-Countは報じています。

彼は、愛犬の話をする際、愛犬を抱っこしたり撫でたりしながら、優しい眼差しを向けています。

柴犬を飼い続けるイチロー氏

イメージ写真
イメージ写真写真:アフロ

イチロー氏は同番組で、「僕は同じ作品を何度も見るんですよ。『星の王子ニューヨークへ行く』を何度見たかわからない」と語っています。一度決めると迷わず、それを繰り返し楽しむそうです。

このような発言から、好きなものにはとことんのめり込む性格であることがうかがえます。一弓くんは、イチロー氏の現役最後の瞬間まで寄り添った愛犬であり、その血縁にあたる柴犬を迎えた背景には、強い思い入れがあると考えられます。

MLBと愛犬

大谷翔平選手とデコピンくん
大谷翔平選手とデコピンくん写真:REX/アフロ

大谷翔平選手の愛犬・デコピンくんは、珍しい犬種であるコーイケルホンディエです。デコピンくんは、始球式を立派にこなし、多くのファンの心をつかみました。その場面ではスタンドから大きな歓声が湧き、球場全体が温かな雰囲気に包まれました。

MLBでは、選手や球団のマスコットとして犬が重要な存在となっています。多くの選手が愛犬を大切にしており、愛犬とのエピソードがメディアで頻繁に取り上げられることもあります。たとえば、球団主催のイベント「Bark in the Park」(スタジアムで吠えよう)は、愛犬と一緒に野球観戦を楽しめる人気イベントです。

このイベントでは、犬専用のエリアが設けられたり、特別なグッズが販売されたりして、ペット愛好家のファン層を広げています。また、こうした活動は動物愛護や社会貢献の一環としても注目されています。

犬とMLBの関係は、選手と愛犬の絆やファンとの交流を深め、感動を生む場面を多く生み出しています。球場全体をより温かくする存在となっており、こうした取り組みは日本にも広がってほしいものです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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