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バント減少のセリーグ。トレンドを作った2番・川端は昨季の後半戦から始まった

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

無死一塁からの送りバントは有効ではない?

今季、セリーグの野球に大きな変化が起きている。ここまでの犠打数は6球団合計で319個。DH制を採用しておらず投手も打席に立つセリーグだがこれはパリーグの466個より150個近くも少ない。昨季優勝したヤクルトは最多安打を放ち首位打者にも輝くことになる川端を主に2番で起用し打線の充実を図った。打順別成績を見ても2番の21犠打はリーグ最少。今季も開幕からは川端が、5月下旬からは坂口が打つ2番の犠打数はわずかに2個。ヤクルトは初回に先頭打者が出塁しても送るという戦術は取っていない。過去の統計によればある状況からイニング終了までに何点入るかを示した得点期待値で、無死一塁は0.821点だが、一死二塁では0.687点に下がるというデータがある。少なくとも1点入る確率を示した得点確率でも無死一塁が40.6%で一死二塁が39.6%。チャンスを拡大したかに思えるが実はほとんど変わらない。1番と3番にはチームの顔となるような主力選手が入ることが多く、その間に入る2番打者が簡単にアウトカウントを増やす送りバントをすることは、チームの総得点を最大化するための有効な戦法とは言い難い。

2番・川端は1年前の今日から始まった

首位を走る広島も昨季は2番打者が49個の犠打を決めていたが今季は年間26個ペースと減少気味。他球団の2番打者も巨人が48個→34個ペース、DeNAが59→18個ペース、中日が34個→26個ペース、阪神が62個→8個ペースとリーグ全体で犠打が減っている。特に顕著なのが最近はエリアンを2番に置くDeNAと”超変革”を掲げる阪神。ラミレス監督と金本監督、現役時代は強打で鳴らした新指揮官の目に送りバントはどう映っていたのか。阪神の場合は12球団断トツ最下位の65%を切る成功率も大きな課題ではあるが・・・

昨季3.51点だったセリーグ全体の平均得点は、今季3.94点。好調な広島打線が平均を引き上げていることは間違いないが、犠打の減少もハッキリと見てとれる傾向だ。昨季、川端が2番に固定されたのはオールスター明けの7月20日のDeNA戦、後半戦最初の試合からだった。

オールスターのためペナントレースが中断される4日間は先発ローテを組み直す絶好の機会であると同時に、後半戦へ向けてチームを立て直す最後のチャンスでもある。ペナントレースが再開され仕切り直しとなる一戦で各球団はどんなオーダーを組み、どんな戦術を取るのか。今日の試合は単なる143分の1ではなく今後を占う大事な試合になる。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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