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井岡一翔と統一戦か? 14戦全勝8KOのIBFスーパーフライ級新チャンピオン

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C) Stephanie Trapp/SHOWTIME

 昨年大晦日に、井岡一翔との統一戦を行う筈だったIBFスーパーフライ級王者のヘルウィン・アンカハスが、10度目の防衛に失敗した。

 新チャンピオンとなったアルゼンチン人、フェルナンド・マルティネスはアンカハスと同じ30歳。アメリカ合衆国のリングに上がるのは今回が初めてであり、自身の戦績を14戦全勝8KOとした。

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 身長157センチと、アンカハスより9センチ低いマルティネスは、アマチュア経験のある亡き父の影響でグローブを握り、マイク・タイソンに憧れて育った。2016年のリオ五輪に出場したが、初戦で敗退している。

 タイソンとはタイプが異なるが、自分よりも大きな相手の懐に潜る点は共通する。

 挑戦者は初回からサウスポーであるチャンピオンの右ジャブを潜って接近戦に持ち込み、左右フック、アッパーを効果的に浴びせてポイントを稼ぐ。マルティネスは、一発一発、力を込めてパンチを振るい、決して下がらない。

 チャンピオンのお株を奪う積極性と手数で、中盤以降、試合の流れは確実にマルティネスが掴んだ。

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 結局、試合終了まで攻め続けたマルティネスが、118-110、118-110、117-111で勝利を掴んだ。新チャンピオンは421のパワーパンチを放つ、力強いパフォーマンスを見せた。

 試合後、マルティネスは語った。

 「父を失った苦しみを乗り越え、自分の人生において特別な、かつ素晴らしい時を持てました。私を支えてくれたチームの皆に感謝します。また、対戦の機会を与えてくれたヘルウィンにもお礼を言います」

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 コロナ禍で、日本政府が外国人の入国を禁止したことで流れた昨年大晦日の統一戦。アンカハスも、IBFのみならずWBOタイトルを狙っていた。しかし、無冠となった今、井岡一翔との対戦を仕切り直すことは難しい。

 33勝(22 KO)2敗2分けとなったアンカハスは言った。

 「この試合を実現してくれたマルティネス陣営に、ありがとうと伝えたい。是非、リターンマッチをやりたい。彼は素晴らしい挑戦者で、このファイトから多くを学んだ。自分の夢を成し遂げるべく、進んでいきたい」

 その後、前王者は病院に運ばれた。

 IBFスーパーフライ級タイトルは、今後、どのように動いていくか。一旦は、その王座を懸けて戦うことが決まった井岡が絡むチャンスはあるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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