フェリシモ×地元企業が被災生活時の声に寄り添って作った「美味しい箱」の中身とは?【神戸市】
来年で震災から30年を迎える兵庫県。あっという間のような、それでいて長かったような時の流れですね。皆さんはどう感じていますか?
最近は地震などの自然災害があまりにも多く、そしてあらゆる場所で起こっているので、ここにいれば安全安心という場所はもはや存在しないと言っても過言ではありません。
自分の身は自分で守るというスタンスが定着しつつある中、過去のリアルな経験の声から生まれた防災グッズがあると伺い、商品発表の会見に行ってきました。
来年に60周年を迎える「フェリシモ」が、被災を経験した阪神エリアの10企業と共働し開発した食品備蓄セット「備蓄でお守りKOBE BOX2」。フェリシモがそこにたどり着いたのには理由があります。
阪神・淡路大震災前に、本社が神戸に移転することが決まっていたフェリシモ。周りの心配を押し切ってまで震災直後にそのまま移転を続行させたのは、震災の打撃を受けた神戸と共に歩むことを決心したからです。
この30年間を神戸に寄り添いながら、街の発展にも尽力してきたフェリシモ。神戸のシンボルとも言える「神戸ポートタワー」の上層階の運営を任された事からも、今までの取り組みが受け入れられてきたことが伺えますね。
今までも防災グッズとして購買者の視点から考案した色んな商品を世に送り出してきたそうなのですが、今回のテーマは「食」です。
地元の企業10社と共に新たに始めようと企画した「KOBE BOX2」は、神戸ほか全国の被災地の人々からの生の声を集めた結果、リアルな声から生まれた商品なのだそうですよ。
ローリングストックという考え方を定着させたかったと話すのは、フェリシモの社長の矢崎さん。そこには、ポジティブな発想で保存食を上手に管理する方法を提案したいという思いがありました。
今までの考え方「長く保存が効く食品」から「食べて美味しい」を前提に考え直し、出来上がったのがこのBOX。そして期限が切れる前に美味しく食べてまた新たに買い足す。それが新しく提案したい「ローリングストック」の形です。
例えば非常時でも簡単に調理できるような物、それをアレンジして作る場合の提案レシピとして、この日はプレートが用意されました。
試食をしてみたのですが、どれも美味しくて栄養も取れ、保存食というカテゴリーとはとても思えない満足のいく内容。そのうえ見た目も良いですよね。
ではここで、共働している各社の商品を使って作られたアレンジ料理を食レポと共にご紹介しますね。どんな味なのか興味津々、それでは頂きます!
「焼きビーフンこく旨塩」(ケンミン食品)を使った、ビーフンの彩りサラダ。アレンジでは優しい酸味も感じられてシーフードもぴったりの相性でした。ビーフンに元々味もついているので料理もしやすいかも。
「豆腐とわかめフリーズドライ味噌汁」(六甲味噌製造所)で作った、お味噌汁を使った茶碗蒸し。出汁の味が効いてふんわりしていて、心底ホッとするお味なんです。
「5種野菜と白いんげん豆のスープ」(エム・シーシー食品)を使った、スパニッシュオムレツ。野菜もたっぷり、オムレツなら子供も好きですよね。これで栄養も沢山取れそう。
「北アルプスの天然水仕立てふんわりごはん富山県産こしひかり」(神明)と、「鮭の塩焼き」(ウチノ)を使った、鮭のおにぎり。柔らかな鮭とふわっとしたごはん、おにぎりって幸福感にあふれている食べ物だと思いませんか?
「お肉屋さんのビーフシチュー」(山垣畜産)を使った、ビーフシチューのパスタ。ゴロッとしたお肉とその旨味がパスタにぎゅっと染み込んでいました。
「玄米ブレッド」(Agrico)を使った、フレンチトースト。柔らかな甘いおやつに頬が緩みます、笑顔が生まれること間違いなしです。
他にも、「3年おいしい神戸のクッキーバニラ」(昭栄堂製菓)、「16種類のやさいとくだもののジュース」(富永貿易)、「ネスレ ミロ ミルクinスティック」(ネスレ日本)という内容が詰め込まれた「KOBE BOX2」。
「とにかくお米が食べたかった」「野菜不足で便秘に」「しんどい気分をちょっと楽にしてくれるおやつ、大事でした」という避難生活での声から生まれた、避難者の心に寄り添った内容は、胃袋を満たす行為だけでなくて心のケアにも繋がっているような気がしました。食べながら感じたのですが、どこかホッとするんですよね。
そして、この日はシェフによるデモンストレーションもありました。被災した状態にあるという前提では水や道具が限られた中での調理となるので、フライパンでパスタとブロッコリーと、レトルトのビーフシチューを一度に茹でていきます。
料理の内容は、BOXの中に入っている「お肉屋さんのビーフシチュー」で作るパスタです。ビーフシチューだけで食べるのではなく具材を足してアレンジする事で量増しできますと話すのは、シェフの北川さん。
確かにそのままで食べるとビーフシチュー1人前ですが、具材を足すことで何人かで一緒に食べられますね。他にも、BOX内の食品と冷蔵庫の野菜なら何でも使えるようにとスパニッシュオムレツも調理。
ちなみにこれらのアレンジレシピは全てBOXに同封されていて、実際に家庭で作れるそうです。非常時にカセットコンロ、ガスボンベ、水、フライパンひとつで出来る料理ばかり。
BOXを購入してメールアドレスを事前登録すると、ローリングストックを上手にできるよう賞味期限前に「そろそろ食べて」とお知らせのメールが来るそうですよ。それなら安心ですね。
30年前に神戸で被災した我が家ですが、先日オカンに防災グッズを買おうと言うと「要るかな?」と、まさかの答えが。だけどきっと「美味しい備蓄食らしいで」と言ったら「ほな、買っとこ」と即答しそうです。これは大きな分かれ道かも知れません。
この日、会見に集まっていた共働企業の皆さんが話したそれぞれのコメントも印象的でした。
会社が被災した時の話や、その時の想いや決意もあり、そうして今ここに繋がっている流れがあるのだなと。皆、神戸で共に頑張ってきた仲間達で、その想いがひとつの形になったのがこの「KOBE BOX2」なのだと感じました。
阪神・淡路大震災から来年で30年目となります。色んな想いを忘れないように、そして気持ちを新たに引き締めて、2025年を希望を持って迎えられたらと思います。
「食は心を豊かにする」というメッセージを受け取ったこの日。この先も食のありがたさを感じながら、心満たされた日々を送れますよう心から願っています。
「備蓄でお守りKOBE BOX2」情報(外部リンク)
※フェリシモ+兵庫県内の10企業による共働企画です