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「さすが大関」霧島が2敗同士対決で熱海富士をねじ伏せ優勝王手 大相撲納めの九州場所を制し夢に近づくか

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
大関・霧島(写真左)が単独先頭で千秋楽を迎える(写真:日刊スポーツ/アフロ)

「目指しているのは、立ち合い強く当たって、まわしを引いてどんどん前に走る相撲」。今年3月の大阪場所を制し、4月のインタビューで霧島本人が語ってくれた「理想の相撲」を、昨日の熱海富士戦でまさに見ることができた。

霧島が落ち着いて取った堂々の相撲

大相撲九州場所14日目。2敗で幕内の優勝争い先頭を走っていたのは、大関・霧島と、先場所に続いて大活躍の熱海富士。2人の直接対決が組まれたことで、優勝はどちらかに絞られた。

立ち合い前の仕切り。何度仕切りを重ねても、霧島の落ち着いた表情はまったく変わらない。涼しい表情で淡々と仕切り、時間いっぱいを迎えた。

立ち合いで一度、熱海富士がつっかける。勝負は二度目の立ち合いからだった。

霧島はパチンとはじくように頭で当たると、すぐに右下手を引く。左は抱えるようにするが、すぐに絞って相手の右を封じ、素早い動きで巻き替えた。終始霧島がいい形のまま前に攻め、最後は堂々の寄り切り。持ち前の運動神経のよさと動きのよさで相手に何もさせず、「さすが大関」と言わんばかりの相撲で、単独先頭に立った。

霧島がこのまま駆け抜けるか、熱海富士逆転なるか

敗れた熱海富士は3敗に後退。しかし、霧島が千秋楽で敗れると、再度自身にもチャンスが巡ってくる。おそらく昨日の相撲で師匠の伊勢ヶ濱親方に(愛のこもった)喝を入れてもらっているだろう。まずは、今日最後の相撲に自分が勝つこと。望みをつないだ状態で、霧島の取組を待つことができるか。

一方の霧島は、最後に勝ってきれいに自身2度目の優勝を決めたい。今場所は内容もよく、動きやうまさに加えてさらなる力強さが乗り、一段と強くなった印象だ。同部屋の鶴竜親方も、今場所の取材でその進化を認めている。

大関で優勝となれば、来年見えてくるのはもちろん「綱取り」の三文字。はやる気持ちを抑えられずにここに記すことをお許しいただきたいが、霧島が大きな夢へ一歩近づく姿を、我々は今日目撃するのかもしれない。

<参考>優勝争いの行方

▽12勝2敗 霧島

▽11勝3敗 熱海富士

・霧島が貴景勝に〇 → 霧島の優勝決定

・霧島が貴景勝に● 熱海富士が琴ノ若に●→ 霧島の優勝決定

・霧島が貴景勝に● 熱海富士が琴ノ若に〇→ 霧島と熱海富士による優勝決定戦

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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