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大相撲1年納めの九州場所を制した琴櫻 最後まで戦った豊昇龍と共にあっぱれ! 来年は新横綱の誕生を祈る

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
初優勝を決めて賜盃を受け取る琴櫻(写真:東京スポーツ/アフロ)

楽しい千秋楽の結びだった。こんなに手放しで楽しんだのはいつ以来だろうか。琴櫻は初優勝、豊昇龍は大関として初めての優勝をかけており、両大関どちらが勝ってもうれしい。そんな贅沢な結びの一番を、家のテレビで見守った。

来場所は琴櫻・豊昇龍共に綱取りへ

13勝1敗同士で迎えた琴櫻と豊昇龍の結びの一番。勝ったほうが優勝という非常にシンプルなシナリオだ。盛り上がりが今場所最高潮に達した。

立ち合いから強烈なのど輪を繰り出した豊昇龍。押し切れずにまわしを取り、右からの上手投げを仕掛ける。しかし、どっしりとした下半身で琴櫻が投げをこらえた。次の瞬間、豊昇龍が足を滑らせ前に倒れた!大関・琴櫻が初優勝を決め、気迫のこもった表情を見せた。

まずは、琴櫻関初優勝おめでとう!「苦しいときもあったけれど、辛抱していればしっかりできるんだと実感できました」と、土俵下のインタビューで答えたその表情は晴れやかだった。「そろそろ優勝しないと先代に怒られると思った」と笑っていたが、きっと先代も喜んで褒めてくれていることだろう。

同時に、最後まで優勝を争い、13勝2敗という素晴らしい成績を収めた豊昇龍も、あっぱれ!来場所は二人とも綱取りの場所となる。二人のおかげで、最高の1年の締めくくりとなった。これで、私も晴れ晴れと来年を迎えることができそうだ。

やはり「新時代」は来ている 令和6年の大相撲

今年1年の大相撲を振り返ると、横綱・照ノ富士が2度の優勝、尊富士の新入幕優勝、そして大の里という大器の誕生と貴景勝の引退など、実にさまざまなドラマがあった。そこに、二人の大関が繰り広げた今場所の優勝争い。素晴らしい最後の場所だった。「新時代」到来といわれる現在の角界。来年はさらに、新しい横綱が誕生してくれるだろうか。明るい期待を抱いてやまない。

1年最後の本場所は無事に幕を閉じたが、来月からはまた冬巡業が始まる。筆者も一部参戦予定。1年の最後に、力士の皆さんと語らいながら、また新たな記事をお届けできたらと思う。今年もあと1ヵ月。さあ、もうひと仕事だ。

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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