10万円給付、18歳以下に絞るべき?子供がいる世帯の平均所得は745万円、平均貯蓄は723万円と高額
公明党は、衆議院選挙の公約に掲げた18歳以下の子どもたちへの一律10万円相当の給付について、「基本的には現金」という新たな考えを示しました。
子供がいる世帯の平均所得は745万9000円と高い
しかし、国民生活基礎調査(2019)によると、子供がいる世帯の平均所得は745万9000円と、全世帯の552万3000円よりもかなり高いです。
夫婦共働き率が伸び続けている影響で、子供がいる世帯の平均所得は増加傾向でもあります。
これに対して、母子世帯の平均所得は306万円と全世帯と比べるとかなり低くなっています。
2020年の女性の自殺者数は前年より935人(15・4%)増え、7026人という衝撃的なニュースも出ました。
児童のいる世帯の84.4%が貯蓄がある 平均貯蓄額は723万8000円
また、児童のいる世帯の84.4%に貯蓄があって、その平均貯蓄額は723万8000円です。これに対して、母子世帯で貯蓄があるのは65%で平均貯蓄額は389万8000円です。
子供のいる世帯の多くは消費旺盛な時期なのでこの世帯に現金給付をしてと考えているのかもしれません。ですが、生活に余裕がある世帯に給付をしても貯金に回ってしまうだけかもしれません。
実際に、児童のいる世帯は生活意識も、母子世帯に比較をすると、まだ余裕があることが分かります。夫婦共働きで信用力もあるためにお金を銀行から借りる余力もあります。
貧困線(可処分所得の中央値の半分)は127万円
2018(平成30)年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は127万円となっています。
15.4%もの世帯が「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)にあります。また、「子どもの貧困率」(17歳以下)は13.5%です。
「子どもがいる現役世帯」(世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる世帯)の世帯員についてみると、12.6%となっており、そのうち「大人が一人」の世帯員では48.1%、「大人が二人以上」の世帯員では10.7%です。
※OECDの所得定義の新基準(可処分所得の算出に用いる拠出金の中に、新たに自動車税等及び企業年金を追加)に基づき算出した「相対的貧困率」は15.7%、「子どもの貧困率」は14.0%、「子どもがいる現役世帯」の世帯員は13.1%、そのうち「大人が一人」の世帯員は48.3%、「大人が二人以上」の世帯員は11.2%となっているようです。
こうしたデータを見ると、子供がいる現役世帯で大人が一人の世帯に絞って給付をするほうが効果があるように感じます。
本当に生活に困窮している世帯に限定してもう少し大きな金額を支給する、あるいは全世帯に一律に給付するほうが合理的で納得感がいくのではないでしょうか。