トッティ以来の欧州得点王にラツィオのエースが? セリエ新記録も期待のインモービレ
このままの調子を保つことができれば、ラツィオのチーロ・インモービレにとって、今シーズンは忘れられない一年となるはずだ。
12月1日のセリエA第14節では、ウディネーゼを相手にドッピエッタ(2得点)を達成した。開幕からの14試合でネットを揺らせなかったのは、わずか2試合しかない。
しかも、そのうち5試合でドッピエッタを達成。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、欧州主要リーグ最多の数字だ。14試合で17得点は、セリエAで1958-59シーズンのアントニオ・アンジェリッロ(インテル)、1933-34シーズンのフェリーチェ・ボレル(ユヴェントス)に続く早さという。
◆クラブやセリエで偉大な数字
クラブでの通算ゴール数も105得点となり、トンマーゾ・ロッキに並ぶ歴代5位タイに浮上した。4位のブルーノ・ジョルダーノ(108得点)までは3ゴール。更新は近いと見ていいだろう。2位ジュゼッペ・シニョーリ(127得点)も狙えるかもしれない。
現在、リーグ戦では9試合連続得点中。ガブリエル・バティストゥータが持つセリエA新記録の11試合まであと2つと迫っている。
1試合平均で1.21得点というペースを保てれば、今季のインモービレは46得点をマークすることになる。現実的と言えないが、ゴンサロ・イグアインがナポリ時代に達成した36得点を超える勢いであることも事実だ。
少なくとも、セリエAの得点王候補であることは間違いない。現在2位のロメル・ルカク(10得点)とは、早くも7ゴール差だ。実現すれば、インモービレにとって3回目の得点王。あのジュゼッペ・メアッツァやミシェル・プラティニ、シニョーリといったレジェンドたちと並ぶ歴代2位タイの快挙となる(最多はグンナー・ノルダールの5回)。
◆14年ぶりの欧州での快挙も?
国内だけではない。欧州の得点王「ゴールデンシュー」の期待も懸かる。バイエルン・ミュンヘンのロベルト・レヴァンドフスキが2試合連続で無得点だったこともあり、インモービレはランキングのトップに立った。
リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウドという2大スターが規格外の得点数をたたき出してきたこともあり、近年のゴールデンシューはバロンドール同様、ほとんど彼らの独壇場だった。
加えて、守備の国イタリアで得点を量産するのは困難だ。実際、最後にセリエA選手がゴールデンシューのタイトルを獲得したのは、2005-06シーズンのフランチェスコ・トッティ(26得点)。14年も前のことだ。
◆5年ぶりの欧州最高峰を目指す
そんな偉業を狙うのであれば、インモービレとしては少しでもゴールを稼ぎたいところだ。だが、ウディネーゼ戦ではハットトリックが懸かるPKのチャンスを、ルイス・アルベルトに譲った。アシストランキングでトップに立つ、自身にチャンスをもたらしてくれる同僚に花を持たせたのだ。
このエピソードは、ラツィオ攻撃陣の関係性の良さを裏付ける。インモービレ、L・アルベルト、そしてホアキン・コレアの3人は、リーグのシュート数ランキングで2位から4位を占めているのだ(1位はC・ロナウド)。
実際、ラツィオは33得点とアタランタ(34得点)に続くリーグ2位の攻撃力を誇り、現在は9試合連続で複数得点をマークしている。これはセリエAのレジェンドストライカー、シルヴィオ・ピオラを擁した1936-37シーズンを上回るクラブレコードという。
圧倒的な得点力に加え、守備でも3位タイの失点数(14)のラツィオは、6連勝と絶好調で3位につけており、5年ぶりのチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得が期待されている(前回は予選プレーオフで敗退)。
数々の得点記録を塗り替え、国内外の得点王のタイトルを手にし、チームを欧州最高峰の舞台に導くことができれば、インモービレにとっては忘れられないシーズンとなる。
まず狙うのは、バティストゥータの連続得点記録更新。そのためには、ユヴェントスとの次節でもネットを揺らさなければいけない。C・ロナウドの不振が騒がれる王者を相手に、インモービレは再びゴールを決められるだろうか。