多才過ぎる。トランペット奏者一井役・陰山泰は「ひよっこ」ではアコーディオンを弾いていた #ブギウギ
すごい熱量、圧巻のパフォーマンス
朝ドラこと連続テレビ小説「ブギウギ」第30回のステージは「ラッパと娘」をまるまる一曲、3分以上に及ぶ、熱量の高いものだった。
「スズ子の舞台をしっかり見せたくて、カットせずに、長い尺で流し、視聴者の皆さんに、本当に観客になったような気分でみていただきたいと思いました。最後、スズ子のやりきった顔が迫真のものになりました」
制作統括の福岡利武チーフプロデューサーは満足そうに振り返った。
「本来、草彅剛さんは後ろで指揮をしているだけのはずでしたが、楽しくなってどんどん踊り出しちゃって。感じたまま、やりたいという草彅さんの思いの現れですね」
草彅さんをはじめ、ステージでパフォーマンスしている趣里さんや陰山泰さんは舞台経験が豊富のためか、客席とステージの呼応の醍醐味もわかって演じている感じがした。ステージの魅力が存分に伝わってきた。
トランペット奏者で梅丸楽劇団のバンマス・一井役・陰山泰さんのトランペット演奏は堂々たるもの。「ラッパと娘」だけにラッパも重要で、スズ子をもり立てながら、出過ぎず、でも出るところは出て、という出し引きがさすが。
福岡利武チーフプロデューサーは「ひよっこ」(17年度前期)でも陰山さんと仕事をしていた。今回のパフォーマンスを「めちゃくちゃかっこよかったですよね」と絶賛した。
「『ひよっこ』では、アコーディオンを弾いていて、音楽がすごく好きな俳優さんであることは存じていました。トランペットも特技であると知っていましたし、去年放送されたNHKの特集ドラマ『アイドル』(22年)ではまさにトランペットのバンマス役を演じていたんです。演出の鈴木航も『アイドル』でご一緒したこともあり、一井役には陰山さんがいいんじゃないかと意見が一致してお願いしました。
ただ、トランペットを吹く指も映るので、これはなかなか大変そうだと、陰山さんも悩まれて、でも挑戦してみたいと前向きに、かなり前から『ラッパと娘』の練習をして臨んでくれました。プロのトランペットプレイヤーが演奏するレコーディングを見学し、その様子を撮った映像も見て、研究して、技術のみならず、トランペッターとしての魂を表現することに腐心してくださいました。台本を読むより、トランペットの練習をしていたほうが長かったくらいで、逆にそのことで役作りができたと思う、おもしろい経験でしたとおっしゃっていただきました」
陰山さんは、「ひよっこ」では、ヒロインみね子(有村架純)が住み込みしていた乙女寮の、カレーが得意な料理人・和夫さんを演じていた。和夫さんはアコーディオン奏者でもあり、謎めいたかっこよさがあって、人気キャラになった。その後「なつぞら」(19年度前期)でもカレー店の調理人役で登場し、朝ドラファンを喜ばせた。
「ブギウギ」では料理ではなく、音楽面で大活躍。料理にしても音楽にしてもさりげない職人気質感の滲むところが、人気の一端であろう。陰山さんの演じる役には、説得力があってドラマの密度が上がる。
「今後も一井の見どころがたくさんあります」と福岡CP。梅丸楽劇団のパフォーマンスに期待したい。
連続テレビ小説「ブギウギ」
総合【毎週月曜~土曜】午前8時~8時15分 *土曜は一週間を振り返ります
BSプレミアム【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分
BS4K【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分
【作】足立紳 櫻井剛 <オリジナル作品>
【音楽】服部隆之
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【出演】趣里 水上恒司 / 草彅剛 菊地凛子 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【概要】大阪の下町の小さな銭湯の看板娘・福来スズ子(趣里)は歌や踊りが大好きで、道頓堀に新しくできた歌劇団に入団し活躍後、上京。そこで、人気作曲家・羽鳥善一(草彅剛)と出会い、歌手の道を歩みだす。“ブギの女王”と呼ばれた人気歌手・笠置シヅ子をモデルにした、大スター歌手への階段を駆け上がる物語。