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勝てばA級昇級決定! 藤井聡太竜王(19)「鬼のすみか」最終局で佐々木勇気七段(27)と対戦開始

松本博文将棋ライター

 3月9日10時。東京・将棋会館、大阪・関西将棋会館において、第80期B級1組順位戦最終13回戦が始まりました。対戦カードは以下の通りです。(▲=先手、△=後手)

【東京】

△藤井 聡太竜王(9勝2敗)-▲佐々木勇気七段(7勝4敗)

▲稲葉  陽八段(8勝3敗)-△郷田 真隆九段(6勝5敗)

▲千田 翔太七段(8勝3敗)-△木村 一基九段(3勝8敗)

▲三浦 弘行九段(6勝5敗)-△松尾  歩八段(2勝9敗)

△屋敷 伸之九段(6勝5敗)-▲近藤 誠也七段(5勝6敗)

【大阪】

△久保 利明九段(3勝8敗)-▲阿久津主税八段(3勝8敗)

※横山 泰明七段(6勝6敗)=全局終了

 ▲佐々木七段-△藤井竜王戦は東京・将棋会館5階、特別対局室(特対)に配されています。

 2017年7月2日。竜王戦本戦▲佐々木五段-△藤井四段戦も、特対でおこなわれました。

 このとき、上座に着いていたのは佐々木五段でした。

 結果は佐々木勝ち。藤井四段の連勝は29で止まりました。

 それから時を経て、藤井四段は竜王・王位・棋王・叡王・王将の五冠となりました。本局、上座に着くのは藤井竜王です。

「それでは時間になりましたので、佐々木先生の先手番でお願いします」

 記録係が10時、開始の合図をして両対局者は「お願いします」と一礼。持ち時間各6時間(ストップウォッチ形式)の対局が始まりました。

 佐々木七段はしばし瞑目したあと、飛車先の歩を伸ばしました。佐々木七段は居飛車党。藤井30連勝を阻止したときの戦型は相掛かりでした。

 藤井竜王はいつも通り、紙コップに注がれたお茶を口にします。そして後手番ではずっと変わらぬスタイルで、飛車先の歩を突きました。

 5手目、佐々木七段は角筋を開きます。この大きな一番で選んだ戦型は角換わりでした。

 25手目、佐々木七段は早くも歩を突っかけて、仕掛けていきます。研究十二分を思わせる進行。熟慮に沈む藤井竜王は、どう応じるでしょうか。

 昇級自力の稲葉八段は、郷田九段を相手に先手相掛かりで臨んでいます。

 勝てば逆転昇級の可能性がある千田七段は、木村九段を相手に先手で角換わり腰掛銀です。

 昨日はC級1組の最終局がおこなわれました。その結果、大橋貴洸六段(9勝1敗)、及川拓馬七段(8勝2敗)、飯島栄治八段(7勝3敗)の上位3人が昇級を決めています。

 C級1組の昇級枠は現在3人ですが、2019年度以前は2人でした。藤井現竜王、佐々木現七段ともに、C級1組では9勝1敗で上がれなかったという厳しい経験もしています。

 B級1組からは昇級2人でずっと変わりません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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