アップルによる「キーボードのキーをはずしてマウスにする特許」の権利範囲について
「キーボードから取り外したキーをマウスとして使うトンデモな技術、Appleが特許を取得」という記事を読みました。「キーボードのキーを分離させ、マウスまたはポインティング・デバイスとして使用できる技術」とのことです。
単なる公開ではなくて権利化です。特許番号はUS11275451です。登録日は2022年3月15日、出願日は2020年2月9日、発明の名称は”DEPLOYABLE KEY MOUSE”(展開可能なキー・マウス)です。
発明の目的は、ノートPCにおいて、精密なデザイン作業等に通常のマウスを使いたいが、別途マウスを持ち運ぶのは面倒というケースに対応して、キーボードの一部を脱着してマウスとして使えるようにするという「そのまんま」のアイデアです。タイトル画像に示したように、脱着のバリエーションとしていくつかのパターンが開示されています。
確かにノートPCで予備的に使うマウスをうまく格納できる仕組みがあれば便利と思いますが、普通に本体の筐体に収納部を設けて格納する方が現実的ではないかと思います。キーボードのキーと兼用にすると、大きさと形状的にマウスとしては使いにくいそうですし、マウスとして使っている時はそのキーが使えなくなりますし、電源やBluetoothのスペースの問題もありますし、メカ的にも故障の可能性が増えるだけなのであまり意味がないように思えます。思いついたのでとりあえず出願してみましたという特許のような気がします(アップルでも出願ノルマがあるのか、この手の特許が結構あります)。
とは言え、権利範囲としては結構広いです(今までにこのようなアイデアを特許化しようと思う人がいなかったということと思います)ので、思いも付かなかったような態様(たとえば、ゲーム機のコントローラなど)で侵害してしまう可能性があるかもしれません。
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