「北欧のコーヒーは何がすごい?」 北欧ロースターフォーラムから現地レポート(1)
10月12~14日、ノルウェーの首都オスロで北欧ロースターフォーラムが開催された。
「スペシャルティコーヒー」という最高品質の豆の焙煎を職業とする人々の集まりだ。
「北欧ってコーヒーが有名なの?」という方もいるかもしれない。
「なんだこれは」と驚く、北欧からの味
北欧各国では、「ノルディックロースト」とも呼ばれる浅煎り(ライトロースト)がトレンド。果実の酸味が特徴的な、紅茶のような味となる。
日本で深煎りに慣れていた人は、この種類のコーヒーを初めて飲むと、「なんだ、これは」と驚くこともあるだろう。
自分がこれまで飲んできたものが「おいしい」と思っていると、この北欧風の味を苦手だと感じる人もいるかもしれない。
「好き・嫌い」と結論付けるよりも、「新しい味だ」と捉えてもらえると、視野が広まるのではないだろうか。
北欧各地でこのような浅煎りコーヒーが飲めるわけではない。ノルウェーなら首都オスロ、デンマークなら首都コペンハーゲンなど、各都市の厳選されたカフェで体験できる、「グルメな北欧ドリンク」といえる。
「フランスといえばワイン」なら、「北欧といえばコーヒー」といっても過言ではない。筆者はノルウェー旅行では「ぜひコーヒー豆をお土産に」と言い続けてきている。
コーヒーは毎日飲むものなので、コーヒーが楽しめると、毎日の幸福度がアップする(というのが筆者の個人的意見)。
店頭でコーヒーを淹れるのは「バリスタ」(ワインでいうならソムリエ)。
おいしいコーヒーができるまでには、コーヒーを種から栽培する生産地での農家(生産者)、そして生豆会社などから豆を仕入れて焙煎する焙煎業者(ロースター)と働く焙煎士たちの存在がある。特にマイクロ(小規模)ロースターによる活躍が目立つ。誰もが、コーヒー界の「職人」といえる。
「北欧ロースターフォーラム」とは何か?
話が長くなってしまったが、今回の記事の舞台である「北欧ロースターフォーラム」(Nordic Roaster Forum)には、このニッチな業界の重鎮たちが集結する。
焙煎士たちは、普段は建物の奥で焙煎機と共に黙々と豆を焼いている人々。業者の関係者も産地を訪問し、農家との交流や豆の栽培に励んでいるため、店頭では出会う機会の少ない人々だ。
ここには、この「影の実力者」たちが集まる。北欧コーヒーのイベントの中でも、最も「オタク度が高い」集まりともいえる。
現場で、筆者が「いつものコーヒーイベントとはなんだか違う」とつぶやくと、「そりゃそうだろう。僕たちを見てみろ!オタク度たっぷり!」と自虐する人々が多かった。
「バリスタが多ければ、もっと社交性のある明るい人も多くて、パーティーのようになる。ロースターがメインだと、地味なオタク会のようになってしまう」と、フィンランドの首都ヘルシンキでカフェ「Good Life Coffee」を共同経営するサムリ・ロンガネさんは笑う。
東京にあるオスロ発のカフェ「フグレントウキョウ」と小規模焙煎所である「フグレン・コーヒーロースターズ」の代表を務める小島賢治さんも参加していた。
フグレンは「ノルディック・アプローチ」というオスロにある生豆会社の豆を輸入し、東京で焙煎している。
「一番の魅力は、課題豆がある競技。味を競い、みんなでジャッジをします。普通は、どこかで認められた審査員がいるものですが、ここでは参加者みんなが審査員」。
技術や考え方を、みんなで共有して、新しいやり方を知ることができると小島さんは話す。
北欧コーヒーの最新トレンドを知る勉強会としては、最高の場なのだが、内容が濃すぎて、筆者はついていけないこともあった。コーヒーの世界は、奥が深い。
勉強会の詳細は、現地レポート(2)に続く
Photo&Text: Asaki Abumi