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BRTひこぼしラインの始発駅! 日田彦山線 添田駅(福岡県田川郡添田町)

清水要鉄道ライター

来たる8月28日(月)、JR日田彦山線の添田~夜明(日田)間を転換した「BRTひこぼしライン」が開業する。日田彦山線は平成29(2017)年7月5日の九州北部で被災し、廃止も検討されたが、JR九州と沿線自治体の合意によりBRTとして復旧することになった。BRTは「バス高速輸送システム」とも言い、日本ではバスと鉄道の長所を組み合わせた乗り物として受容されている。法律的には鉄道ではなくバスの扱いだ。添田~彦山間と宝珠山~日田間では一般道を走行するが、並行する道路が狭く険しい彦山~宝珠山間では日田彦山線の線路を転用した専用道を走行する。「日田山線の」となることを願って「ひこぼしライン」と名付けられた。

添田駅ホーム
添田駅ホーム

ひこぼしラインの福岡県側の始発駅が添田駅だ。豪雨の被害を受けて添田~夜明間が不通となるまでは日田彦山線の途中駅の一つに過ぎなかったが、不通以降は全ての列車が折り返す終着駅となっている。ホームは島式で2・3番線があったものの、2番線は廃止されて線路が剥がされ、BRTのバス車両が入線できるようになっている。

右の建物が駅舎
右の建物が駅舎

駅舎はホームから少し離れたところに設けられている。これは添田駅が日田彦山線ではなく添田線の駅として開業した名残で、駅舎の建っている場所にかつては添田線の1番ホームがあった。添田駅は大正4(1915)年4月1日に小倉鉄道の終点「上添田」として開業、昭和8(1933)年頃に「彦山口」に改称された。昭和17(1942)年8月25日に日田彦山線の前身・田川線の西添田~彦山間が開業して乗り入れると、駅舎から離れたところにホームが設置されている。小倉鉄道は昭和18(1943)年5月1日に国有化。その後、路線名の変遷を経て、添田駅は小倉~香春~田川後藤寺~添田~夜明間の日田彦山線と香春~大任~添田間の添田線が接続する駅となった。

駅舎
駅舎

添田線は昭和60(1985)年4月1日に廃止。添田線ホームに面していた旧駅舎は解体されて駅前道路の拡張用地に充てられ、添田線ホームの跡に現在の駅舎が建てられた。駅舎の完成は昭和63(1988)年3月。駅舎内には当初物産館が入居していたが、現在はBRTひこぼしラインの事務所と写真店となっている。無人化は平成27(2015)年3月14日。駅舎裏手はかつて添田線の側線などがあった場所で、長らく更地となっていたが、現在はひこぼしラインの車庫が設けられている。

ひこぼしラインの車両
ひこぼしラインの車両

日田彦山線代行バス
日田彦山線代行バス

ひこぼしラインの営業開始に伴い、不通以来6年に渡って乗客を運んできた代行バスはその役目を終える。代行バスは彦山~大行司間では沿線道路が狭隘なため、大きく迂回しており、鉄道やひこぼしラインが通らない東峰村小石原を経由する。日田彦山線の切符で小石原に行くことができる期間もあとわずかだ。最後に代行バスに乗ってまもなく開業するひこぼしラインとのルートの違いを楽しんでみるのもいいだろう。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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