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うるう日と天気 ちょっと意外な関わり

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2016年2月29日は低気圧が発達し東京都心で雪あられが降った(ウェザーマップ)

 うるう年は4年に一度やってくるが、例外もある。予想外の事件は2000年に起こった。コンピューターが誤作動を起こし、気象データがストップしたのだ。

うるう年とは?

 私たちが普段使っている暦は1582年、ローマ教皇グレゴリウス13世が制定したもので、太陽の動きを基に作られた暦です。地球が太陽の周りを一回りするのにかかる日数を365日とし、これを一年としました。

 しかし、正確には約365.24219日=約365日5時間48分45秒かかるので、一年を365日とすると少しだけ足りません。このずれを長い年月、放置してしまうといずれは暦と季節が合わなくなります。そこで、グレゴリオ暦法では4年に一度、うるう日を作ることにしました。

1.西暦年号が4で割り切れる年をうるう年とする。

2.ただし、例外として、西暦年号が100で割り切れて、400で割り切れない年は平年とする。

 ややこしいのは例外があること。4年に一度のペースでうるう日を加えると、今度はわずかに足し過ぎてしまうのです。そこで、400年で3回、うるう日をなくすことにしました。実はここに落とし穴あったのです。

特別なうるう年

 今からちょうど20年前、ミレニアムという言葉が流行した2000年はうるう年でした。

 上記の例外から、1900年や2100年は4で割り切れますが、400では割り切れないので平年です。一方、2000年は100でも、400でも割り切れるのでうるう年となるのです。前回は1600年で、次回は2400年です。2000年は特別なうるう年でした。

隠れた2000年問題

 2000年は大きな区切りが始まる華やかなイメージがあった一方で、コンピューターの誤作動が心配されました。1999年から2000年になると日付がそれまでの99から00となるため、コンピューターが正しく動かなくなるおそれがあると世界的に問題視されたのです。当時は今ほどコンピューターの性能が良くなく、簡易的な表示が主流でした。

 固唾をのんだ1月1日、心配されたようなことは起こらなかったのですが・・・事件は2月29日朝に起こりました。突如、気温や降水量などの気象データが入電しなくなったのです。これには驚きました。2000年問題が何事もなく終わったので、まさかうるう日に事件が起こるとは、想像すらしていませんでした。

今年のうるう日は冷たい雨?

 2月29日の出来事を天気ノートで振り返ると、2016年は低気圧が急発達して、東京都心で雪あられが降り、2012年は関東で大雪、そして2008年は北陸地方で春一番と、探せばいろいろありました。でも、一番印象に残っているのはこの2000年アメダス誤作動でしょうか。

2月29日9時の予想天気図(ウェザーマップ、著者加工)
2月29日9時の予想天気図(ウェザーマップ、著者加工)

 

 まもなく、うるう日がやってきます。今のところ、低気圧が太平洋側を通る予想で、東京は冷たい雨になるかもしれません。

【参考資料】

国立天文台:よくある質問、質問3-6どの年がうるう年になるの?

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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