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ゴンベエ(宇野祥平)の謎がツヤ(水川あさみ)の死と結びついたミラクルな展開 #ブギウギ #朝ドラ

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「ブギウギ」より 写真提供:NHK

明るくツヤさんを看取りたい

朝ドラこと連続テレビ小説「ブギウギ」第8週のクライマックス、スズ子(趣里)の母ツヤ(水川あさみ)が危篤に。でも、舞台に立つ者は、親の死に目にも会えない覚悟で臨まないといけない。本番を終えて帰郷したスズ子、最後に最愛の母のために歌を歌う(第39回)。

ツヤの亡くなった後、はな湯をどうするか、進退を考えるうえで、意外な人物が助けになる。その人物とは、あのゴンベエ(宇野祥平)だった(第40回)。

哀しみは第39回で思いきり描き、第40回では、寂しさを抱えながらも笑顔の展開に。

制作統括の福岡利武チーフプロデューサーは「どんなときでも決して湿っぽくならないのが『ブギウギ』の魅力」と言う。

「足立紳さんはやっぱり最後、明るくツヤさんを看取りたいという思いがあったのでしょう。脚本もかなり時間をかけて作りました。第39回でツヤが死ぬ間際、ふいに元気になる場面や、スズ子がツヤを前にして泣いているところに梅吉が割って入り、スズ子と梅吉の漫才のようになる場面は、そのまま弱って亡くなっていくよりもツヤさんらしい場面はないかと、足立さんがずいぶん考え抜かれたものと思います。水川さんはもとより、柳葉さんと趣里さんの熱演もあって『ブギウギ』らしい家族の話になったと思います」

そこに桃のエピソードが組み込まれているのもポイント、と福岡CP。スズ子の幼少時、寝込んだ彼女のために、ゴンベエが季節外れの桃をどこからともなく手に入れてきたこと(第9回)を受けて、第39回はアホのおっちゃん(岡部たかし)が桃をツヤのために探してくる。ここであの桃の話が再び、登場するとは驚いた。

「ブギウギ」より 写真提供:NHK
「ブギウギ」より 写真提供:NHK

「ブギウギ」より 写真提供:NHK
「ブギウギ」より 写真提供:NHK

縁の下の力持ちゴンベエにもハッピーエンドを

そして、第40回ではゴンベエの謎が一気に解決。ツヤが亡くなって悲しいはずが、ハッピーエンドのようなムードに。ゴンベエの過去を知る者・光子(本上まなみ)が現れて、あれよあれよ……という流れは、かなりの力技にも思える。すごく不思議な後味だった。

福岡CPは第40回の展開についてこう話す。

「うまく凝縮しました。ツヤさんに思いを馳せたいかたもいるであろうなかで、突如、ゴンベエの過去にまつわるなかなか複雑でややこしい話が立ち上がりますが、うまく楽しんでほしいと思って作りました。

実際、ゴンベエ役の宇野祥平さんも光子を見て驚いていましたよ。ある種の素のリアクションです。当人に誰が光子を演じるか、言わないほうがおもしろいと思って言わないでいたら、誰かが先にしゃべっちゃったのですが(笑)。それでも、素の驚きのリアクションを出したいのであまり気にしないようにしようとする宇野さんの努力の賜物で、まっさらな感じですっかり記憶のない感じが出たと思います。

ゴンベエさんはこれまではな湯のメンバーの中でずっと縁の下の力持ちとして存在してくれていたので、彼にとってのハッピーエンドにできればなあという思いもありました」

ゴンベエの物語も、ツヤの書いた人相書きが功を奏し、最後の最後までツヤがはな湯を守りきったという、あくまでもツヤの物語に収束する。

番組にはいろいろな感想や反響が寄せられているそうで、福岡CPは「だからこそでもないですけれど、おもしろいものを作らなくちゃと思いますし、愛のある姿、関係を作ることが大事なんじゃないかと僕は思っています」と作品への強い思いを語った。

ツヤを中心に、梅吉、六郎、スズ子たち花田家が改めて強く結びついたとはいえ、はな湯が花田家のものではなくなってしまうのは寂しくもある。が、

「はな湯は今後も登場します」と福岡CP。

第9週は、梅吉とスズ子の東京生活が気になる。

「ブギウギ」より 写真提供:NHK
「ブギウギ」より 写真提供:NHK

連続テレビ小説「ブギウギ」

総合【毎週月曜~土曜】午前8時~8時15分 *土曜は一週間を振り返ります

BSプレミアム【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分

BS4K【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分

【作】足立紳 櫻井剛 <オリジナル作品>

【音楽】服部隆之

【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里

【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)

【出演】趣里 水上恒司 / 草彅剛  菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか

【概要】大阪の下町の小さな銭湯の看板娘・福来スズ子(趣里)は歌や踊りが大好きで、道頓堀に新しくできた歌劇団に入団し活躍後、上京。そこで、人気作曲家・羽鳥善一(草彅剛)と出会い、歌手の道を歩みだす。“ブギの女王”と呼ばれた人気歌手・笠置シヅ子をモデルにした、大スター歌手への階段を駆け上がる物語。

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

ノベライズ・大河ドラマ『どうする家康』(脚本:古沢良太 NHK出版)ほか、著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』、企画、構成に『堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』等。角川書店で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクターなどの経験を生かしドラマ、映画、演劇など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける 日本ペンクラブ会員

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