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2匹目の猫登場「光る君へ」記録によれば一条天皇は猫好き過ぎて実資は「奇怪なり」と書いている

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「光る君へ」より小鞠 写真提供:NHK

小麻呂から小鞠へ

大河ドラマ「光る君へ」(NHK)の第27回ではまひろ(吉高由里子)が道長(柄本佑)の子を出産し、視聴者は騒然。その一方で、新たな猫の登場も話題だ。

物語の前半は、倫子(黒木華)の愛猫・キジトラの小麻呂が人気だった。最近、姿を見せなくなっていたが、第27回でついに新たな猫が登場。彰子(見上愛)が抱いている黒白(ハチワレ)の猫は小鞠という。

土御門殿で飼育されている猫という設定だ。倫子も含め藤原家で飼っているけれど彰子が一番かわいがっているのかもしれない。

演じている猫の情報は以下となる。

●名前 ひげ ひげ|グローバル・アニマルアクト|撮影現場で活躍できる動物プロダクション (s-ap.net)

●品種 日本猫(ミックスキャット)

●年齢 10歳

●性別 女の子

●性格・チャームポイント 

鼻先のひげのような黒いポイントがチャームポイント。性格はとてもおしとやかで人が大好きだけど猫はちょっと苦手で甘え上手なにゃんこ。

また、前半活躍した小麻呂役の猫はニモという名で10歳の男の子。ひげと同じ、動物プロダクションに所属している。性格はおとなしく、手がかからない。ただ、水がちょっと苦手らしい(雨のシーンがあったがさぞや大変であったろう)。色素が薄い子のため、鼻先がピンクなのがチャームポイント。様々なドラマで活躍する人気猫である。

「光る君へ」より小麻呂 写真提供:NHK
「光る君へ」より小麻呂 写真提供:NHK

猫は高貴な家でしか飼われていなかった

猫の登場に関して、小麻呂のとき、NHKはこのように説明している。

●そもそも猫を登場させた狙い、意図は?

「源氏物語」にも描かれています。「光る君へ」の描写にあってもよいのではということで登場させました。

●当時、猫を飼う習慣はあった?

絵巻などに猫が多く描かれています。当番組と同じように紐でつないでいる描写で描かれています。

高貴な家でしか飼われていなかったようです。

一条天皇は猫好きだった

一条天皇は猫が好きであった記録は残されている。

また、ちょうど、第27回で描かれた、彰子の入内と定子の出産の直前、999年9月19日に、内裏で飼っていた猫が子を生み、詮子と道長が立ち会って「産養」が行われたと、実資が「小右記」に綴っている。「産養」とは皇族や貴族の生誕儀礼のひとつで、猫に対して人間の儀式を行うことを、実資は「奇怪なことなり」「未だ禽獣に人の礼を用いるを聞かず。嗟乎」と疑問視するように書いている。

「光る君へ」よりインコを飼っている?実資(秋山竜次)。「小右記」では一条天皇の猫好きについて記している 写真提供:NHK
「光る君へ」よりインコを飼っている?実資(秋山竜次)。「小右記」では一条天皇の猫好きについて記している 写真提供:NHK

「光る君へ」では一条天皇(塩野瑛久)が猫好きという描写はいまのところない。一条天皇はひたすら定子(高畑充希)を一筋に描かれている。第27回、彼が定子に救いを求め、のめりこんだ理由を詮子(吉田羊)のせいだとぶちまける場面は鮮烈だった。

歴史では猫好きとされるが、ドラマのなかでは猫好き描写はいまのところない一条天皇。写真提供:NHK
歴史では猫好きとされるが、ドラマのなかでは猫好き描写はいまのところない一条天皇。写真提供:NHK


大河ドラマ「光る君へ」(NHK)
【総合】日曜 午後8時00分 / 再放送 翌週土曜 午後1時05分【BS・BSP4K】日曜 午後6時00分 【BSP4K】日曜 午後0時15分
【作】大石静
【音楽】冬野ユミ
【語り】伊東敏恵アナウンサー
【主演】吉高由里子
【スタッフ】
制作統括:内田ゆき、松園武大 
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう ほか

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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