「令和の牛若丸」だ!キャンプA組抜擢の19歳・ホークス川原田が示す存在感
藤本博史監督が「テーマは競争」と言い続ける今春のホークスキャンプ。そのため例年以上に実戦形式の練習が早めに導入され、まだ第1クールだった2月3日からフリー打撃に投手陣が登板した。打者は、ピッチャーの生きた球を打席に立って対峙したのだ。
武田翔太から安打性8本を藤本監督評価
その日の練習後、藤本監督は「川原田はよかったね。今、目立たないとね」とコメント。開口一番で名前が挙がったのが2年目の19歳、川原田純平内野手だった。
一軍で実績十分の武田翔太投手から直球勝負オンリーだったとはいえ、8本の安打性を放ったのだ。
「真っ直ぐだけだったのもあるけど、思った以上に慣れるのが早かった。良い打球もあった」
ドラフト指名時から「今宮2世」との呼び声も高い。遊撃守備の身のこなしから身体能力の高さが分かる。身長170cmと小兵だが、高校通算15本塁打のパンチ力も誇った。
1年目は三軍が主戦場の中でも、二軍公式戦にも17試合に出場した。守備ではある程度アピールをしたが、打撃は24打数2安打、打率.083と全く通用しなかった。
藤本監督は「高校では小さな体でも本塁打を打ってきて自信があったと思う。スイングが遠くに飛ばそうと、あおり気味だった。でも、木製バットだと飛ばない」と感じていた。
井端や宮本を目指せ
昨年の公式戦が終了して秋季教育リーグに入る頃、川原田にこんな助言をした。
「目標を定めたらどうや? 井端(弘和=元中日、巨人)とか宮本(慎也=元ヤクルト)とか」
いずれも球史に名を刻む名内野手だが、井端は通算1912安打を記録し、宮本は通算2133安打で名球会入りも果たしており、好打者としても活躍した。
「低い打球を」
そんなアドバイスも送られているようだが、攻撃野球を掲げる藤本監督は「強い打球」にはこだわる。小兵だからといって、右打ちを強要することはしない。
川原田もしっかり理解をしている。
「まずは速い真っ直ぐを引っ張れないと、流し打ちも出来ないと思っています。なので、自主トレからこのキャンプにかけても真っ直ぐを引っ張って打つことをテーマにしています」
1月の自主トレは巨人の立岡宗一郎、松原聖弥と宮崎県都城市で行った。一軍経験もある他球団の先輩たちの練習にもしっかりついていき、体つきも逞しくなってきた。
「まだ自分は一軍レベルではない。まず、春のキャンプはしっかりA組で残れるように、しがみついてやっていきたい」
今宮2世か、はたまた井端2世か宮本2世か。いや、かつて昭和の日本プロ野球には牛若丸と異名をとった吉田義男(元阪神)という名選手もいた。なんとなく、そのイメージにも重なる。
川原田は「令和の牛若丸」へ。白熱の内野手争いの中、アピールを続けていく。