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阪神・森木大智投手と前川右京選手の“初対決”は「楽しかった!」「嬉しかった!」

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
23日のフリー打撃で“初対決”を果たしたルーキー・森木投手(左)と前川選手(右)

 きのう23日から最終の第6クールに入った阪神タイガースの春季キャンプ。安芸ではドラフト1位ルーキー・森木大智投手(18)が今キャンプ初めて、フリーバッティングのピッチャーを務めました。

 シートバッティングとは違い、自身の前に打球避けのケージを置かれた状態なので投げにくさはあったと思いますが、それでも久しぶりに打者と向かい合って、やはりいい意味で力も入ったでしょうし、楽しかったに違いありません。

 さらに森木投手が投げた相手は、高知高校の先輩である栄枝裕貴選手と、ドラフト4位ルーキー・前川右京選手(18)。これは練習後に平田勝男監督が「森木と前川をバッティングコーチがうまく当ててくれて」と明かしてくれたように、日高剛打撃兼分析担当コーチの粋なはからいでした。

 日高コーチに確認すると「その通りですよ!僕です。わかったでしょ?」とニヤリ。しかも森木投手の球を受けたのも、ドラフト7位ルーキー・中川勇斗捕手(18)ですから、この日来られたファンの皆様もきっと楽しんでいただけたと思います。

 なお、森木投手の前に牧丈一郎投手、ドラフト5位ルーキーの岡留英貴投手も同じく、今キャンプ初めてフリー打撃に登板しています。その内容はこちら。

◆牧投手

 高山俊選手と原口文仁選手に対して51球

 安打性の当たりは12 (高山選手5、原口選手7)

 投げ終わった牧投手に対して平田監督が「丈一郎、いいよ!」と声をかけ、「ありがとうございます」と明るく答えた牧投手。少し出遅れた今キャンプですが、ここへきてブルペンでも高評価のようです。

この日のフリー打撃、最初は牧投手がBPを務めています。左は安藤優也投手コーチ。
この日のフリー打撃、最初は牧投手がBPを務めています。左は安藤優也投手コーチ。

◆岡留投手

 中川選手と板山祐太郎選手に対して42球

 安打性は6 (中川選手1、板山選手5)

岡留投手も“初登板”。少し変則気味の右腕です。
岡留投手も“初登板”。少し変則気味の右腕です。

◆森木投手

 前川選手と栄枝選手に対して41球

 安打性は0 (前川選手は左中間フェンスを直撃するかという飛球と、ライトポール右のネットに刺さった特大ファウルあり)

森木投手は2種類の変化球をまじえて41球を投じました。
森木投手は2種類の変化球をまじえて41球を投じました。

『森木vs前川』を演出したのは…

 練習後、平田監督は「森木、楽しみやん!前川も負けないスイングをしていたけど、きょうはやっぱり森木のボール。久しぶりにバッターに投げたわりにはコントロールもまずまずだったし、前に(球避けの)ケージがあると投げにくいらしいんで。そのへんを差し引いても、いいボール投げてるもんね。ストレートね」と大満足の様子。

 「あとはカーブも投げた。久しぶりにフリーバッティングで打者に投げて、感触よかったんじゃない?前のクールはちょっとへばってたというか、前半のストレートの力がなかった。ちょっとストレートが落ちてきたかなというのがあったけど、今日は打者と対戦することで気持ちも違ってたね」と続けました。

 「岡留も、まあまあキレがあるし、面白い存在になってくれればというとこがあるよね。こうやってペースが上がってくると思うよ。2人とも次はあさって(25日)のシート。問題ないんじゃない?あさってシートやって、そして…ということ。スケジュール通り順調に来ているよ」とのことです。

 対戦した前川選手の特大ファウルについては「ファウルはファウルや。ファウルで喜んだってさあ」と言いながら「それより持ち味の逆方向、左中間へフェン直に近い打球!あれは外のいい球よ。意識して振っていたよ。前川に関して何も言うことないわ」と平田監督。

 そして「バッティングコーチがやってくれたんだよ。森木と前川ね」と再度、日高コーチの“采配”を絶賛です。

フリー打撃で“初登板”した森木選手(左)。受けたのは同期の中川捕手(右)でした。
フリー打撃で“初登板”した森木選手(左)。受けたのは同期の中川捕手(右)でした。

前川「まずは一番、楽しかった!」

 では、プロに入って実現した“対決”を前川選手に振り返ってもらいましょう。

―森木投手との初対決はいかがでしたか?

 高校の時からずっと名の通っているピッチャーなので、いつか対戦してみたいと思っていて、フリーバッティングではあるんですけど対戦できて、まずは一番楽しかったです!

―対決についてはいつ知りましたか?

朝、聞いて。できると思っていなかったので嬉しかったです!

やるからには大智も全力でくると思ったので、自分も気合いを入れてしっかり入りました。まあ勝負じゃないですが、いい戦いができたかなと。

―平田監督が、逆方向の当たりをほめていましたよ。

 ああいった打球がいって、よかったのはよかったんですけど、自分がとらえたと思った打球でファウルになったのもあった。

 それだけ威力のある球なので、これからそういうピッチャーを打っていかないといけないというところで、とてもいい練習というか、いい経験を積ませてもらったと思う。これをムダにせず、今後につなげていきたいと思います。

―シート打撃も楽しみ?森木投手も投げますよ。

 あるんですか?(とまた嬉しそう)

―大きいのを打っときましょうか。

 はい!(笑)

バッティング練習中も笑顔がはじける前川選手。「ありがとうございました!」の声も初々しい18歳です。
バッティング練習中も笑顔がはじける前川選手。「ありがとうございました!」の声も初々しい18歳です。

森木「僕もワクワクしました!」

 次は森木投手です。

―今キャンプで初めて打者に対して投げた感想は?

 球種は限定して、(真っすぐ以外に)カーブとスプリットだけで様子を見ながらという感じだったので、そんな抑えるというよりバッター相手にどれだけ自分が投げられるかというところでした。

―納得いくボールはどれくらいありましたか?

 だいたい高めのストレートは押せていっていて、とらえられなかったんで。打者の人もそれなりに仕上がってくる頃だと思うので、その中で空振りとかファウルとかあったのはよかったです。

―次はシート打撃登板ですが。

 シートでは、制球に関してはまだまだ慣れていない部分もあって、多少バラつきがある中でも、打者を抑えていくってのがテーマになると思うので、そこは抑えていきたいですし、自分の真っすぐで押せていけるようにしたいです。

―課題は?

 インコースに投げていなかったので、アウトコースでちょっとアバウトにいこうって感じで、キャッチャーの中川とも話してやりました。次の課題としては、インコースをついていけるかどうかってことと、右バッターのアウトコースのストレートの質、ですかね。

―前川選手とも対戦しましたね。

 自分はまだまだバラつくとこがあったんで、その中でちょっと真ん中にいったら、やっぱりいい打球を打ちますし、構えている時の雰囲気とかも圧があるなと。

―特大のファウルについては?

 ちょっと内に入ってしまったんで、あーいかれたなと思ったら、しっかりとらえられた。ファウルだったんですけど、さすがだなと思いました。

―でも前川選手は「とらえたと思った打球がファウルになる。さすがだな」と。

 お世辞ですよ(笑)。

―前川選手は、とにかく嬉しくて楽しかったみたいです。

 本当に初対戦なので、僕もワクワクしました。楽しかったです!

―けさ聞いたとか?

 そうです。あ~右京もいるんだ~と(笑)。カーブを投げるのも見せたことがなかったので、でも2球目くらいから対応してきた。やっぱりさすがだなと思いました。

 「大智」「右京」と呼び、互いにほめあう2人。将来に向けてのことを聞いてみると「同じチームでもあるし、同期入団で、攻撃の柱としてやっていってくれると思うので心強いですが、野球選手としては絶対に負けたくないですね」とライバル心を表した森木選手。前川選手も同意でしょう。楽しみですね。

地元・高知出身の森木投手ゆえ、テレビ取材も連日。注目のルーキーです。
地元・高知出身の森木投手ゆえ、テレビ取材も連日。注目のルーキーです。

自分のボールを投げられた岡留

 最後に、やはり初の打撃投手を務めた岡留投手にもコメントをもらっています。

―フリー打撃ではありましたが、対打者での感触は?

 久々に打者に対して投げたので楽しめたというか、しっかり自分のボールを投げられたのでよかったです。変化球もストレートもストライクゾーンに投げられたので、感覚としてはよかったと思います。

―ブルペンとは違いますよね?

 そうですね。打者ともタイミングも違うので。ここから実戦に向けて、もっとしっかり打者を見たりとか、そういうところを意識して、もっと投げていきたいです。

―25日のシート打撃登板については?

 まずはしっかり打者に対して投げられるのがひとつ。抑えにいくのはもちろんなんですけど、しっかり打者を見て、自分の試したいことをやっていけたらと思います。

 岡留投手、森木投手とも25日のシート打撃で投げたあと、何も問題がなければキャンプ終了後の初実戦となるファーム教育リーグ・オリックス3連戦(4~6日・鳴尾浜)で“デビュー登板”が見られるかもしれませんね。

フリー打撃登板を終え、キャッチャーの藤田選手(右)と話しながら引き揚げる岡留投手(左)。
フリー打撃登板を終え、キャッチャーの藤田選手(右)と話しながら引き揚げる岡留投手(左)。

  <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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