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【いま聴くべき新しい才能】横浜出身アカシック、王道J-POPはギャル×文学的要素が魅力な逸材

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
アカシック

●王道J-POP×ギャル×文学=アカシック

J-POP王道を感じるロックバンド、アカシック。誤解を恐れずにいえば、90年代ポップ・センス=globe、安室奈美恵、浜崎あゆみ、UNICORN、JUDY AND MARYやPUFFY、そしてaikoの系譜とでもいえば興味を持っていただけるだろうか? 耳に残るキャッチーなイントロ&サビ・フレーズ。遊び心あふれる、カーディガンズよろしく、洒落た洋楽センスも感じられる豊かなバンド・サウンドであり、女子の気持ちをバッチリとらえる文学的な歌詞の切り口をも持っている。そんなバンドが2016年に存在したのだ。

アカシック
アカシック

サカナクションやゲスの極み乙女など、男女混成バンドに注目が集まっている昨今のバンドシーン。アカシックは女子2人+男子3名という5人組編成だ。見た目やステージでの自由な振る舞いは“ギャル”という、横浜生まれ繁華街育ちであどけない歌声のヴォーカルの理姫(りひ)による文学的な歌詞の魅力、その強い存在感にやられた。ギターの奥脇達也が生み出す、ヒット曲センスあふれるメロディーも素晴らしい。今の時代らしくロック・フェス・シーンへも刺激を与える、ダンサブルなバンド・サウンドというポテンシャルの高さにも驚かされた。

●3月16日(水)1stフル・アルバム『凛々フルーツ』リリース

地元、横浜をテーマにした楽曲も多いアカシックは、2016年3月16日(水)に1stフル・アルバム『凛々フルーツ』をワーナーミュージック・ジャパンのレーベルunBORDE(アンボルデ)からリリースした。今年5周年を迎えたunBORDEは、きゃりーぱみゅぱみゅ、ゲスの極み乙女、神聖かまってちゃん、CAPSULE、高橋優、RIP SLYMEなどが所属する人気レーベルだ。アカシックは、そんなチームの最新のニューカマー・アーティストとして位置づけられている。

http://unborde.com/

まずは、アルバム『凛々フルーツ』2曲目に収録されたリード曲「8ミリフィルム」で聴ける、渋谷系サウンドを彷彿とさせる、理姫による感情を吐き出すように赤裸々な恋愛観が絡み合う熱量の高さ、すっと入ってくる絵が浮かぶ物語性の魅力に注目して聴いてほしい。

君の才能が欲しかった でも間違えたんだな

8ミリフィルムにして欲しかった だけど 今なら分かったよ

ラブストーリーはこんな嘘つき趣味じゃない

出典:歌詞:8ミリフィルム

そして、気になるナンバーが続くアルバム『凛々フルーツ』のなかで、ぜひとも聴いてほしいのがミュージックビデオ化されていない、12曲目に収録された「恋は媚薬だなんて冷めるわ」だ。

恋は媚薬だなんて冷めるわ 憂鬱は約束だ

用の無い寸秒と寝るんだ テーマはアイラブユウ

映画はノワール 慣れ親しんだあたしの心だ

出典:歌詞:恋は媚薬だなんて冷めるわ

揺れ動く感情。冷静な自分。しかし、高まる気持ちを押さえられない様子が、疾走感溢れるせつなきビートロックとして描かれていく。

他にもロッカバラードな「結婚」(1曲目)、跳ねるポップチューン「サンデイバージンディアボーイ」(3曲目)、距離感の近いラブソング「今日から夜は家にいるよ」(4曲目)、8ビートな横浜ロックチューン「ヨコハマカモメ」(5曲目)、ねじれたポップソング「飴と日傘」(6曲目)、鍵盤担当Hachi作曲による新境地「ギャングスタ」(7曲目)&「うたかたの日々」(8曲目)、昭和歌謡テイストがたまらない「ロリータ」(9曲目)、現実をファンタスティックにロッキンする「華金」(10曲目)、大きな世界観を持つ「馬鹿なハスキーエイジ」(11曲目)、徐々に可変していく心模様がせつない「夢遊」(13曲目)などにも注目だ。

●王道J-POP、ライブにおける七変化するアカシックの表現力の素晴らしさ

先日、LINE LIVEがおこなった要注目の音楽イベント『LIVE FREELY SPECIAL vol.1』に、アカシックは先陣を切って出演アーティストとして選ばれ、六本木・ビルボードライブ東京でライブをおこなっていたように、一番の魅力はライブだ。そもそも、昨年夏に出演したロックフェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』でのポップかつアグレッシヴなステージも素晴らしかった。

文学好きギャル〜音楽好き不良〜イケメン・ベーシスト〜ロック好き女子〜音楽に救われたスポーツマン兼いじめられっ子という様々なキャラクターが共存するバンド・メンバーの多様性。スキルフルな演奏力の高さを持ち、しかしオトナとコドモを彷徨うアンビバレンツな存在感。情報過多な時代に迷う人々の心を代弁するポップミュージックならではのオルタナティヴなチカラ。2016年という“いま”に最も必要な音楽、それが王道J-POPだなんて素敵だと思う。そんな、人間力あふれる魅力を放つアカシックに注目したい。

ライブでの定番曲「サイノロジック」、「CGギャル」、「プリチー」、「ツイニーヨコハマ」、「終電」という楽曲たちもアカシックには欠かせない。なんでもアリなJ-POPを突き進め、七変化しまくるバンドの魅力を堪能して欲しい。気になった方は、5月からはじまる全国ツアー『日本凛々ツアー』を要チェック!!! ほんとすごいバンドなんです。

■アカシック OFFICIAL HOME PAGE

http://www.akasick.info/

■アカシック WARNER MUSIC JAPAN

http://wmg.jp/artist/akasick/

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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