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ねんねトレーニングは赤ちゃんの心に悪影響?

ねんねママ(和氣春花)乳幼児育児アドバイザー

「ねんねトレーニング」という言葉、聞いたことがありますか?

赤ちゃんが1人で寝つけない、授乳じゃないと寝られない、抱っこじゃないと寝られない、夜中何度も起きて泣く…などというお悩みがある際に、赤ちゃんに寝る力を養わせてあげる練習をすること、それをねんねトレーニング、略してネントレと言います。

ネントレの代表的な方法は、赤ちゃんが泣いていてもそのまま部屋を退出して、時間が来るまで泣かせっぱなしにするという方法。

それを聞くと「そんなやり方をしたら親子の絆にヒビが入りそう!」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

抱っこして欲しくて、やさしく寝かしつけて欲しくて泣いているのに泣かせっぱなしにして、赤ちゃんの心に影響がないか、心配ですよね。

ママやパパとの信頼関係、泣いているのにあやしてくれない!と心を閉ざしてしまわないか…というところが気になってくるポイントだと思います。

この記事では、『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』著者の乳幼児睡眠コンサルタントねんねママが、ママやパパが心配になるネントレと赤ちゃんの心について解説します。

ねんねトレーニングは必要?

赤ちゃんにねんねトレーニングは絶対必要か?と聞かれたら、「全くそんなことはありません」と答えます。私の仕事はねんねトレーニングを教えることですけれど、絶対に必要とは思わないんです。

トレーニングをしなくても自然と1人で寝られる子もいますし、添い乳や添い寝で寝かしつけをするのが幸せで何も困っていないというママ・パパもいます。

そういう方はそれを変える必要ありません!ママ・パパが幸せなのが一番ですから!

お子さんが夜中頻繁に泣いて困っている、笑顔でいられない、子供が可愛いと思えなくなってしまった…

そういったお悩みのある方はぜひ正しい知識をもってチャレンジしていただければと思います(トレーニングは生後6ヶ月になってから。それ以前は環境やスケジュールを整えましょう)。

▼【プロ解説】ねんねトレーニングは新生児からする?!失敗しないための3つのポイント

赤ちゃんの心への影響

そんなねんねトレーニングですが、多くの場合は赤ちゃんが泣く時間が発生します。

できるだけ泣かせないトレーニング方法もありますが、これまでの癖を断ち切って寝る力を身につけるためには、少なからず泣きをともなうことがほとんどです。

大好きな赤ちゃんがギャン泣きしているのは親としてつらいものですよね。特にママは赤ちゃんの泣き声が不快に感じるようにできているので、ギャンギャン泣かれると「もう嫌だ!こんなの無理!こんなに泣かせて赤ちゃんの心に傷がついてしまう!」と思ってしまうのです。

その赤ちゃんの心に影響がないか、ということについて、結論としては「影響がない」ことが過去の実験では証明されています。

医師の森田麻里子先生が著書の中でその実験について触れているので引用します。

「ねんトレは赤ちゃんの心の成長によくない」というのも、よく聞く誤解です。
とても信頼性の高い医学研究によって、ねんトレは赤ちゃんの精神面の発達に悪い影響を与えないとしっかりと証明されています。
(『家族そろってぐっすり眠れる 医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』ダイヤモンド社)

この実験では、夜泣きなどの睡眠トラブルを抱える生後7ヶ月の赤ちゃんを326人集め、2つのグループに分けました。

片方のグループには生後8〜10ヶ月の間、泣きをともなうねんねトレーニングを行い、もう片方のグループにはトレーニングをしませんでした。

そして、5年後に子供の精神面の発達や愛着障害を含む親子関係のテストの点数を比較した結果、その2つのグループの間には差がなかった、つまり、ねんねトレーニングの有無は親子の愛着関係に影響しないという結果が出ています。

「実験て!そんなのうちの子に当てはまるのかあてにならん!」と思われるかもしれませんね。

それはそうです。子育ては十人十色。お子さんの気質や、ご家庭の状況によっても結果は変わります。

だからこそ、私もここで、絶対に大丈夫!!!と言い切るつもりもありません。

心配でやりたくない…自信が持てない…という方はねんねトレーニングはやらないほうが良いと思います。

やるならやる!やらないならやらない!中途半端で一貫性がなくて、思いつきでちょっとやってみようかな〜やっぱやめようかな〜なんてするのが一番よくないので、どちらでもいいので自信を持って決めることが大事です。

冒頭でも述べた通り、「ねんねトレーニングをすることが全員に必要」ということはないのです。

外国人は親子関係が希薄?

フランスでは多くの家庭が新生児の頃から子供部屋を作って、そのお部屋に赤ちゃんを1人で寝かせています。

ではフランス人が日本人と比べて親子関係が希薄か?と聞かれると、おそらくそんなことないですよね?

アメリカだって、オーストラリアだって、1人部屋で寝ている0歳児、たくさんいます。この子達がみんな、添い寝で育った日本人よりも親子の絆が薄いか?と聞かれたら、そうだ!とは言い切れないのではないでしょうか?

ということを考えると、ママやパパがイライラしちゃうぞ!という場合はねんねトレーニングということも改善の候補として、1人でねんねできるようにしたほうが、日中笑顔でたくさん遊んであげられて、結果的に幸せなのでは?と思います。

ねんねトレーニングされる方は、赤ちゃんギャンギャン泣かれると「これで大丈夫なのかな?親を信じられない子にならないかな?」と不安になってしまうかもしれないですが、そんなときにこのお話を思い出していただいて、少しでも自信に繋げてもらえれば嬉しいです。

▼【最速】赤ちゃんに「自分で寝る力」をつける3ステップ

乳幼児睡眠コンサルタント ねんねママ

乳幼児育児アドバイザー

乳幼児育児アドバイザー。小児スリープコンサルタント。0-3歳モンテッソーリ教師。株式会社mominess代表。YouTube「ねんねママのもっとラクする子育て情報局」やInstagramなどで乳幼児の育児に関する発信を続け、2024年現在、SNSの総フォロワーは18万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』『〇✕ですぐわかる!ねんねのお悩み消えちゃう本』がある。

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