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羽生善治九段(48)叡王戦九段予選で屋敷伸之九段(47)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

 9月3日。東京・将棋会館において叡王戦九段予選1回戦▲屋敷伸之九段(47歳)-△羽生善治九段(48歳)戦がおこなわれました。14時に始まった対局は、16時16分に終局。結果は96手で羽生九段の勝ちとなりました。

 羽生九段は同日19時から2回戦で藤井猛九段(47歳)と対戦します。

羽生永世七冠、8番目のタイトル獲得に向けて始動

 叡王戦は第3期からタイトル戦に昇格。2018年には高見泰地六段(現七段、26歳)が叡王のタイトルを獲得しました。

 今年19年には永瀬拓矢七段(現在27歳)が挑戦。叡王位を奪取しています。永瀬現叡王の熱い就位記念インタビューはこちらをご覧ください。

叡王獲得までを盤上・盤外から振り返る「月に28日がVS、残りの3日が対局」

https://originalnews.nico/204159

大好きな漫画を力説「チェンソーマンは1筋から9筋まで全部駒をぶつけるような漫画」

https://originalnews.nico/205915

 永瀬叡王は羽生九段が歴代最多勝利数の1434勝目をあげた際の対局相手でした。

 永瀬叡王は羽生九段の偉大な勝数記録について、次のように述べています。

あと自分は1100勝しなくちゃ追いつけないんですね(苦笑)。すごいということしかわからない。この山は高いということしかわからないですね。

出典:永瀬叡王就位記念インタビュー

 これまでの7大タイトル戦ですべての永世称号資格を得るなど、将棋界のあらゆる栄冠を勝ち取ってきた羽生九段ですが、8番目のタイトルとなった叡王戦は、まだ頂点に立っていません。多くのファンからは「無冠返上」、タイトル通算100期獲得とともに、初の叡王戴冠も期待されています。

 今期叡王戦では緒戦、九段予選1回戦で屋敷九段との対戦となりました。

羽生九段、熱戦を制す

 対局開始は14時。後手番となった羽生九段は一手損角換わりの作戦を選びました。

 屋敷九段が早繰り銀で速攻を見せたのに対して、羽生九段は右側に玉を移動させます。

 攻める屋敷九段が羽生陣に角を打ち込む強烈なパンチを見せたのに対して、羽生九段は曲線的な指し回しで応対します。

 攻め続ける屋敷九段。対して羽生九段も角を切り捨てる強烈なカウンターパンチを放ちます。

 屋敷九段有望の展開かとも思われましたが、難しい形勢が続きます。

 終盤戦、羽生九段の桂跳ねが、攻防に効く実に気持ちのいい一着となりました。このあたりを境に、羽生九段が体を入れ替えて優位に立ったようです。

 最後まで、盤上をいっぱいに使った大熱戦。屋敷玉は遠く羽生陣の近くまで逃げた後、きれいに詰まされました。

 羽生九段はこれで2回戦に進出。続けて19時から藤井猛九段と対戦します。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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