Yahoo!ニュース

銀河戦3回目の優勝を目指す藤井聡太七冠 決勝トーナメント1回戦で狩山幹生四段(新五段)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 11月12日。第32期銀河戦決勝トーナメント1回戦・藤井聡太七冠-狩山幹生四段(当時)戦が放映されます。(対局収録日は8月9日)

 本局の勝者は2回戦で広瀬章人九段と対戦します。

 なお狩山四段は11月5日に五段に昇段しています。(本稿では四段と表記)

若き王者・藤井七冠

 藤井七冠は2002年7月29日生まれ。まだ22歳の若さながら、すでに各棋戦で輝かしい実績を残しています。本棋戦では、優勝は2回、準優勝は1回です。


 今期はHブロック最終戦で近藤誠也七段に勝って、決勝トーナメントに進みました。


 藤井七冠は当然今期も、優勝候補の筆頭と言ってよさそうです。

新鋭・狩山四段

 狩山四段は岡山県倉敷市出身。大山康晴15世名人は同郷の偉大な先人となります。


 狩山四段は2001年11月12日生まれ。現在22歳で、誕生日を迎えると23歳になります。関西の名門・井上慶太九段門下で、2021年に四段昇段。居飛車党で、受けが得意な棋風です。

 棋士編入試験には対局相手として2回登場し、里見香奈女流四冠(現五冠)、小山怜央アマ(現四段)と対戦。そのどちらにも勝ち、強いところを見せています。


 狩山四段は、銀河戦は今期で2期目の参加。予選で畠山成幸八段に勝ち、本戦トーナメントCブロックに出場しました。

 本戦では伊藤沙恵女流四段、日浦市郎八段、古森悠太五段、宮田敦史七段、中川大輔八段と連破。6局目には新A級八段の増田康宏八段と対戦しました。狩山四段先手で戦型は相掛かり。増田八段優勢の時間が長く続きましたが、粘った末に逆転勝ち。6連勝を達成しました。次戦で横山泰明七段には敗れましたが、Cブロック最多連勝者として決勝トーナメントに進んでいます。

 狩山四段は今年6月、棋王戦本戦2回戦で現棋界トップクラスの一角である永瀬拓矢九段と対戦。相入玉の末に182手で持将棋が成立し、指し直しとなりました。そしてまた相入玉となり、今度は永瀬九段の点数が足りず187手で勝利。格上のA級棋士を相手に、こちらでも白星をあげています。

初手合の対戦


 藤井七冠と狩山四段は初手合。狩山四段にとっては、めったに当たることができない相手だけに、対戦にも力が入っていたことでしょう。得意の受けの力が発揮される場面も見られるかもしれません。

 なお本放送は11月12日ですが、先行配信が11月9日にあります。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事