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東京五輪スーパーヘビー級金メダリストがオールKOでデビュー以来11連勝

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Stephanie Trapp/SHOWTIME

 身長2メートル1センチのサウスポー、バハディール・ジャロロフ(27)は、プロ選手としてキャリアを重ねながら昨年の東京五輪に出場し、スーパーヘビー級で金メダルを獲得した。

 このほど、国際ボクシング殿堂のイベント中にプロ11戦目のリングに上がり、最終8ラウンドでKO勝ちを収めて11戦全勝11KOとパーフェクトレコードを更新。

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 ウズベキスタン人であるジャロロフの対戦相手は、11勝(7KO)2敗1分けのベルギー人、ジャック・ムロワイ(35)。

 ムロワイも197センチの長身だが、試合開始から金メダリストの懐に飛び込めない。ムロワイは、ジャロロフのフットワークに翻弄された。

 とはいえ、ジャロロフの足捌きはお世辞にも華麗とは表現できず、パンチの躱し方もクリンチばかり。ストレートに威力はありそうだが序盤は単発で、コンビネーションも見られなかった。

 リングサイドでは、ロイ・ジョーンズ・ジュニア、シェーン・モズリー、アントニオ・ターバーといった拳豪たちが肩を並べていたが、彼らの11戦目と比べると、インパクトは弱い。

 4回終盤、ジャロロフはホールディングで減点を告げられた。

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 6ラウンド終盤、ウズベキスタン人ファイターの左ストレートを浴びたムロワイがダウン。ダメージの濃いベルギー人ファイターに対し、ジャロロフは第8ラウンド1分17秒に左フックをクリーンヒットとして試合を終えた。

(C)Stephanie Trapp/SHOWTIME
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 試合後、勝者は言った。

 「いいパフォーマンスが出来たと思う。相手もタフで、素晴らしい選手だった。力を込めたパンチを3~4発当てたが、彼は耐久力があるよね。6回に倒した際、フィニッシュできると思ったが、レフェリーがラウンド終了と判断した。最終ラウンドまで、チャンスを待つしかなかった。まぁ、KOできて嬉しいよ。来るべき瞬間が訪れたね」

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 率直に述べるなら、今回のファイトは決してハイレベルなものではなかった。しかし、2メートル1センチというサイズは魅力だ。そして、ジャロロフには五輪金メダリストという価値もある。

 昨年、殿堂入りし、この試合を生観戦したアンドレ・ウォードも、アテネ五輪の金メダリストとしてプロ入りした折、その戦いぶりを酷評された。が、キャリアが彼をパウンド・フォー・パウンド上位に押し上げた。

 ジャロロフはどこで化けるか? ウォードに続くことが出来るだろうか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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