30代40代の婚活。「いい人」を選びたいならば、まずは自分が「いい人」になるべき件
「自分の相場」より高めの相手を選ぼうとして婚活は難航する
月に20人ぐらいのペースで婚活中の人に会っている。「飲み会に誘われたらできるだけ参加している」という緩めの活動から、「複数の婚活アプリに登録し、結婚相談所への入会も検討中」といったストイックなものまで、婚活の意欲と内容は人それぞれである。ただし、共通点は存在する。ほぼすべての人が相場より高めの相手を選ぼうとしている点だ。
ここで言う相場とは、結婚市場における偏差値のようなもの。年齢、見た目、職業、学歴、性格、居住地域、家族構成などの要素からなる。20代半ばから30代半ばまでの爽やかな外見で安定的に働いている一人暮らしの大卒男女が圧倒的にモテる市場だ。そういう人たちはたいてい自信も実力もあるので、対人関係もスムーズであり、性格も良く見える。
問題はその他大勢の人々だ。婚活をして、思ったよりも難航すると「いい人には出会えない。会えても振り向いてもらえない。妥協するぐらいならば一人のままでいい」と思い始める。いわゆる高望みである。自分の周りにいて、自分に好意を持ってくれる人たちが自分の相場であることをわかっていない。それは妥協ではなく妥当なのだ。
筆者は35歳以上で結婚した「晩婚さん」を120人以上取材(連載はこちら)している。誰からもうらやまれるような素敵夫婦はほとんど存在しない。ちょっと失礼な言い方をするならば、「破れ鍋に綴じ蓋」。不完全な人同士が肩を寄せ合って幸せに暮らすのが結婚の現実なのだ。
もちろん、結婚相手は誰でもいいわけではない。何度会っても居心地の悪さを感じるような人とは一緒に生活するのは難しい。しかし、本当に「年収600万円以上の正社員」であることが必要だろうか。家庭像を具体的に想像して計算したとき、共稼ぎで世帯収入が800万円あれば十分かもしれない。学歴が高くなくても、マナーがあって心身が健康的な人であれば一緒にいて居心地がいいかもしれない。
「いい人」になるのは簡単。外見はプロに任せて、笑顔と誉め言葉を習慣づける
目線を下げる(というか妥当なものにする)と、今まで眼中に入らなかった人が結婚相手の候補に見えてくる。腐れ縁だと思っていた友だちや同僚、婚活アプリで知り合ったけれど先に進まないデート相手、などだ。おそらくその人も「いい人がいれば…」と思っている。
この状況を打開するには、相手ではなく自分が「いい人」になるしかない。外見に関してはプロの手を借りるのが早い。髪型は美容師に、服装はセレクトショップなどの店員に任せてしまおう。「婚活をしているので好感を持たれやすいようにしてほしい」と頼めば張り切ってくれるはずだ。自分では鼻毛・爪・フケ・肌荒れ・加齢臭の5点を常にチェックしよう。
女性にも注意してほしいのは立ち振る舞いのほうだ。初対面の人には誰でも緊張するものだが、笑顔と誉め言葉と感謝の言葉は忘れないようにしたい。「いい人」の前だけで感じ良く振る舞うのは不可能だ。普段から練習しておくと、ここぞというときにも自然な笑顔ができる。
まずは自分が爽やかで朗らかな「いい人」になり、オープンな気持ちで様々な場に出ていると、必ず同じぐらい「いい人」と知り合いになる。あとは自分から連絡を取って親しくなるだけだ。人間関係の幸せは手の届く範囲にきっと存在する。