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ジョコビッチ歴史的快挙! ローランギャロス(全仏)初優勝&史上8人目のキャリアグランドスラム達成!!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
初優勝の瞬間ジョコビッチはコートに大の字になって喜びを表現した(写真/神 仁司)
初優勝の瞬間ジョコビッチはコートに大の字になって喜びを表現した(写真/神 仁司)

テニス4大メジャーであるグランドスラムの第2戦・ローランギャロス(全仏テニス、パリ)決勝で、第1シードのノバク・ジョコビッチ(ATPランキング1位、5月23日付け、以下同)が、第2シードのアンディ・マリー(2位、イギリス)を、3時間3分におよぶ4セット、3-6、6-1、6-2、6-4で破り、ローランギャロス初優勝を飾った。同時に、ジョコビッチは、グランドスラム4大会を全制覇するキャリアグランドスラムも達成。史上8人目のキャリアグランドスラマーとなり、テニス史に残る歴史的快挙となった。

「(グランドスラム4大会を全制覇は)テニスプレーヤーにとって、究極のチャレンジの一つです。もちろん、とても誇りに思うし、とても興奮しています。自分のそばに、優勝トロフィーがあって感動しています」(ジョコビッチ)

ジョコビッチとマリー、共に29歳で、34回目の対決となり(ジョコビッチの23勝10敗)、お互い手の内を知り尽くした対戦となった。

ジョコビッチは、4回目の全仏決勝でのプレーとなったが、過去3回準優勝に終わった影響か、試合序盤はナーバスになり、ミスを13本犯して、マリーに第1セットを奪われた。

「自分の正しいリズムを見つけるのに少し時間が必要だった」とジョコビッチが語ったように、第2セット以降は、ジョコビッチが自分のテニスを取り戻し、いずれもセットの序盤で、マリーのサービスをブレークすることに成功して、試合の主導権を握った。ジョコビッチのストロークが深く入り、ドロップショットも効果的に使って、マリーに揺さぶりをかけて追い詰めていった。

第4セット第8ゲームで、ジョコビッチは、マリーの反撃を許して、最初のサービング・フォー・チャンピオンシップをブレークされたが、第10ゲームで3回目のマッチポイントをもぎ取って、ついに全仏初優勝を勝ち取った。

レッドクレー(赤土)のテニスコートに、ラケットで大きなハートマークを描いて、その真ん中にジョコビッチは、大の字になって横たわって、初優勝の喜びをかみしめた。

「今日、全仏の優勝を勝ち取ったことは、自分に幸せをもたらし、心を満たしてくれました」と語ったジョコビッチは、12回目の全仏での戴冠となった。一方、敗れたマリーは、世界1位の力を認めて、同い年の王者を祝福した。

「今日、ノバクが成し遂げたことは、とても特別なこと。多くの人が目撃したかったことです」

実はジョコビッチは、昨年のウインブルドンから、グランドスラム4連勝を成し遂げた。4連勝は、1969年に年間グランドスラムを達成したロッド・レーバー(オーストラリア)以来で、記録づくしとなった。年間ではないグランドスラム4連勝は、史上3人目だ。

そして、ジョコビッチには、2016年に年間グランドスラムを達成できる権利が残されている。年間グランドスラムは、男子史上最多グランドスラム17勝のロジャー・フェデラー(3位、スイス)でさえも成し遂げることができなかったことで、現代のテニス界では、不可能と言われてきたことだ。

「年間グランドスラムができるかどうかといえば、確かに可能性はあります。でも、今は考えたくありません。今まで勝てなかった優勝トロフィーを勝ち取った経験をできるだけ楽しみたいです」

現在キャリアベストにあり、12個目のグランドスラムタイトルを獲得したジョコビッチの調子からすると、年間グランドスラムも決して絵空事ではない。そう感じさせた、ジョコビッチのローランギャロス初優勝だった。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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