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クルマの日常メンテはタイヤの空気圧管理が重要! 誰でも自宅で簡単にできる方法を教えます!

安藤眞自動車ジャーナリスト(元開発者)
タイヤの空気圧点検を、自宅で簡単にできる方法を教えます。(提供:イメージマート)

 クルマの日常点検で重要なのが、タイヤの空気圧です。タイヤの空気圧が低すぎると、燃費が悪くなったり、高速道路でバーストしやすくなったり、操縦性能が低下したりなど、多くのデメリットが生じます。日本自動車タイヤ協会(JATMA)では、タイヤの空気圧は1ヶ月で約5%減少するとしており、月に一度の点検を推奨しています。

 「そんなこと言われても、空気圧計なんか持っていないし、そのためだけにガソリンスタンドまで行くのも面倒。ガソリンを入れるときには、つい忘れちゃう」というかたも多いのではないかと思いますが、実はあなたのクルマに積んである(かもしれない)アレを使えば、簡単にできてしまうのです。

 最近のクルマはスペアタイヤを搭載しない代わりに、パンク修理剤を使用するものが多くなっています。その修理キットには、修理剤といっしょに空気圧計の付いた電動ポンプが入っており、これを使えば空気圧の点検も空気の注ぎ足しも、簡単にできてしまいます。

パンク修理キットに入っている電動空気入れ。片手で持てる大きさです。(撮影筆者)
パンク修理キットに入っている電動空気入れ。片手で持てる大きさです。(撮影筆者)

 電動空気入れがどこに入っているかは、取扱説明書を見てください。最近はweb版の取説もありますから、車名と「取扱説明書」をキーワードに検索すれば、スマホでも閲覧できます。多くの場合「万が一のときに」などのタイトルのページに、使いかたと合わせて掲載されています。

 使いかたは簡単です。まずホースを引っ張り出して、タイヤのバルブキャップを外し(無くさないように、すぐポケットなどに入れましょう)、ホースの先端をバルブにねじ込みます。ホースをねじ込んだ段階で、空気圧計が作動します。この数値を読んで、自分のクルマの指定空気圧と照らし合わせれば、空気圧チェックは完了です。指定空気圧は国産車なら運転席のドアを開けた後ろの柱にステッカーで表示されています。

電動空気入れのホースをバルブに接続すると、空気圧計が作動します。これはスペアタイヤなので、いざ使用するときに空気圧が足りないことがないよう、指定空気圧より高めに入れてあります。(撮影筆者)
電動空気入れのホースをバルブに接続すると、空気圧計が作動します。これはスペアタイヤなので、いざ使用するときに空気圧が足りないことがないよう、指定空気圧より高めに入れてあります。(撮影筆者)

 空気圧が足りない場合、電動ポンプのプラグをシガーソケットに差し込み、クルマのキーやスタートボタンをONにして、シガーソケットに電気が来る状態にしてから、電動空気入れのスイッチを入れます。0.2kgf/cm2(20kPa)程度の注ぎ足しなら、10秒程度で入れられるはずです。

 空気圧が高すぎるということは、あまりないと思いますが、そういう場合はホースを外し、バルブの中にある突起を押せば、少しずつ抜くことができます。ただし走行直後でタイヤが暖まっていると、空気圧が高めになるのは当たり前なので、点検はタイヤが冷えた状態で行ってください。片側だけ直射日光が当たり続けたような場合も、避けたほうが良いでしょう。

電源はシガーソケットから取ります。電動空気入れのコードは、4輪どのタイヤにも届く長さになっているはずです。(撮影筆者)
電源はシガーソケットから取ります。電動空気入れのコードは、4輪どのタイヤにも届く長さになっているはずです。(撮影筆者)

 ここで気になるのが、「電動空気入れの空気圧計はどの程度正確なのか?」ということ。そこで、ちゃんと校正された単体の空気圧計で測ってみたところ、0.1kgf/cm2(10kPa)ほど甘い結果となりました。

単体の空気圧計を使用して、電動空気入れの空気圧計の精度をチェックしました。両手で作業するので、計測中の写真はありません。(撮影筆者)
単体の空気圧計を使用して、電動空気入れの空気圧計の精度をチェックしました。両手で作業するので、計測中の写真はありません。(撮影筆者)

 とはいうものの、そもそもこの電動空気入れの空気圧計は目盛りのピッチが0.2kgf/cm2と粗く、読み取りかた次第で±0.05kgf/cm2程度の誤差は出そうですから、「まあまあ正確」と考えて良いでしょう。厳密に管理したいかたは、単体の空気圧計を買いましょう。ネット通販で1000円〜2000円ぐらいで売っています。

 また、たとえばブリヂストンタイヤでは「車両指定空気圧を基準とし、0~+20kPaの範囲内で調整・管理する」ことを推奨していますので、電動空気入れの空気圧計だけで管理する場合でも、針1本分ぐらい多めに入れておくのは問題ないでしょう。空気圧は気温の影響も受けますから、あまり神経質になる必要はありません。

 実は僕のクルマには、フルサイズのスペアタイヤが搭載されており、パンク修理キットは付いていないのですが、「いざスペアタイヤに交換しようとしたら空気が抜けていた」という可能性もありますし、今までは自転車用の手押しポンプで空気圧管理をしていたので、この機会にネットオークションで手に入れました。

 ご自身のクルマに電動空気入れが搭載されていない場合でも、日常の空気圧点検や万が一に備えて、ひとつ積んでおくと安心ではないかと思います。

僕のクルマは後席の床下に収納スペースがあるので、牽引ロープといっしょに入れておきました。反対側にはジャンプケーブルと革手袋が積んであります。(撮影筆者)
僕のクルマは後席の床下に収納スペースがあるので、牽引ロープといっしょに入れておきました。反対側にはジャンプケーブルと革手袋が積んであります。(撮影筆者)

自動車ジャーナリスト(元開発者)

国内自動車メーカー設計部門に約5年勤務。SUVや小型トラックのサスペンション設計、英国スポーツカーメーカーとの共同プロジェクト、電子制御式油空圧サスペンションなどを担当する。退職後に地域タブロイド新聞でジャーナリスト活動を開始。同時に自動車雑誌にも寄稿を始め、難しい技術を分かりやすく解説した記事が好評となる。環境技術には1990年代から取り組み、ディーゼルNOx法改正を審議した第151通常国会では参考人として意見陳述を行ったほか、ドイツ車メーカーの環境報告書日本語版の翻訳査読なども担当。道路行政に関しても、国会に質問主意書を提出するなど、積極的に関わっている。自動車技術会会員。

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