怒る相手を鎮める話しかけ<その1>:3つのステップ+コントロール•フレーズ+〝トーン〟の秘策
こう暑さが厳しいとついイライラしてしまいますね。私も先日やってしまいました。熱射の日、近くのコンビニエンスストアへフリマで売れた品を発送に行きました。カートから荷を解いてスタッフに声をかけると、なんと驚きの返答がー
「当店は発送サービスがありません」
「ええ?!やってないって?」
コンビニなのにチケット発券もないという。スタッフには何も落ち度がないのに思わず悪態をついてしまいました。その店から500m離れた同じチェーン店へ歩いて熱中症気味になりましたから、悪態くらいいいじゃないと思ったのですが、私がしたカスハラ(カスタマーハラスメント)体験から生まれたのが、今回の「怒りを鎮める話しかけ」です。
怒りを鎮める3ステップ
たいていの怒りは一時的です。それも「理不尽なことをされた」「こちらの事情が伝わらない」「何度言ってもわかってくれない」といった思いから発生します。ただ怒るわけではなく、何か理由があるのです。いきさつをつまびらかにすることが、怒りを鎮める話しかけ対応の出発点となります。
目の前に怒りをぶつけてくる人がいるとしましょう。第一に「怒りを吐き出させる」ことです。〝お話を伺います〟という傾聴姿勢が大切です。怒る相手に立ち向かうのではなく、怒りを受けとめるのです。
「不満はXXXということですね」「怒るのももっともです」
受けとめながら、怒りのポイントをチェックしましょう。相手がお客様ならメモとペンで書き留めると「受けとめてくれている」サインになります。吐き出しの勢いが弱まってきたら、第二の怒りの元となる「問題点の整理」へ移ります。
「お怒りの点XXXという理解でいいですか」「とすればXXXとなればいいのですね」
怒りのポイントを整理して問題点を共有するのです。マインドマップのように広げてもいいでしょう。いわゆる「課題の抽出と対策立案」のようなものです。まとまってきた問題に相手がうなずいたら、第三の「解決方法を共につくる」へ進みます。
「こうしたらいかがでしょう」「他に良い方法はありますか」
私の物品発送のケースでは、怒りは「発送ができない」「それを知らなかった」であり、問題点は「他店まで行かねばならない」ことです。解決方法はこの店でも発送サービスを導入するか、それまでは「発送サービスが無いこと」を店頭やWebできちんと伝えることになります。
このような流れを意識すれば大抵の怒りは解けますが、そこに〝コントロール•フレーズ〟を入れるとなおいいです。
〝合いの手〟を入れて怒りを鎮める
怒りをもつ相手は瞬間的に自己中心になり、相手や周囲のことが目に入りません。そんな時に大切なのが、〝コントロール•フレーズ〟による話しかけです
「どうされました」
「いきさつを伺いましょう」
「それはお怒りも当然です」
「事情がのみこめてきました」
「お気持ちを察します」
最初は「聴いて引き出す」ための合いの手です。相手が吐き出すにつれて「理解しました」という合いの手を入れていきます。必ずしもその場で「解決方法」まで至らなくても大丈夫です。一緒に解決策を見つけましょうという段階までくれば、怒りは収まっています。
コントロール•フレーズを入れる時に、心がけてほしいことがあります。
怒る人を落ち着かせる低音ボイス
「声のトーン」を落とすのです。
低めの声でゆっくり話す。怒りにかられると人は高いトーンで大声を出します。こちらも声を荒げれば火が立ち上がります。「ゆっくりと低い声」で話しかけるべし。
ある政治家の街頭演説を聴きました。絶叫調で、しかも声が高い。私は甲高い声が気になって主張が耳に入ってきませんでした。一般人への意識調査から、多くの人が思う〝いい声〟とは「低い声である」ことがわかっています。ラジオのパーソナリティも低い声が好まれますよね。声だけのせいだけではありませんが、その議員は落選しました。
今回は「怒りを鎮める話しかけ」のステップを説明しました。<その2>では「怒りが鎮まった事例」をもとに理解を深めましょう。
怒りを鎮める話しかけ<その2>:相談員のひと言「あなた、やってるじゃない」でネガからポジへ転換
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