早くも発生!大西洋に出現した4月のトロピカルストーム
4月後半に入っても、台風が発生せず静かな太平洋と異なり、大西洋では早くも「トロピカルストーム」が発生しています。
「トロピカルストーム」とは、太平洋上における「台風」と同じく、温かい空気からなる最大風速17メートル以上の熱帯性の低気圧です。風速が33メートル以上になると「ハリケーン」と名前が変わります。
異例の早さで発生
今年第1号となるトロピカルストーム・アーリーン(Arlene)は、現地時間4月20日、大西洋のど真ん中に発生しました。中心気圧は993ヘクトパスカルまで下がり、これは4月に大西洋で発生したトロピカルストームとしては、観測史上最も低い記録となりました。
トロピカルストームがこれほど早い時期に大西洋上で発生することは、大変稀なことです。アメリカ海洋大気庁によると、1月から4月の間に大西洋で発生したトロピカルストームとハリケーンは、記録に残っているもので7つしか例がなく、このうち4月に発生したものは、2003年のAnaしかありませんでした。(1851年から2015年の統計)
今後の予想
ただ、アーリーンは21日(金)には消滅する見込みで、陸に影響を及ぼすおそれはないようです。
このところ増えている、早生まれのストーム
一年中台風が発生することがある太平洋西部と異なり、大西洋のハリケーンシーズンは6月1日から11月30日までと限られています。実際、過去に大西洋で発生したトロピカルストームとハリケーンの90%が、この期間に発生しているのです。
このように公式のシーズン開始は6月1日ですが、アーリーンは6週間も早く発生したことになります。しかしこのところ、このような早生まれの擾乱がよく発生しているのです。
例えば、去年は1月にハリケーン(Alex)が発生、そして5月にはトロピカルストーム(Bonnie)も発生しました。さらに2015年(Ana)、2012年(AlbertoとBeryl)にも早生まれのトロピカルストームが発生しています。
近年大西洋では海水温が上昇し、より強いストームが、以前よりも早い時期に発生しやすくなっているといわれています。