南半球記録となる、23.8メートルの巨大波発生
かつて航海士が「狂う50度」と名付け、「神はもはや存在しない」とも言った、南緯50度付近の海上で巨大な波が観測されました。
今月8日(火)ニュージーランド南部キャンベル島沖で、南半球史上もっとも高い記録(ブイによる)となる「23.8メートル」の波が観測されたのです。これは昨年、同じ場所で観測された「19.5メートル」をしのぐ記録となりました。
この巨大な波をもたらしたのは、秒速35メートルの暴風を伴い、台風並みに発達した低気圧でした。上の衛星写真には渦を巻く、その嵐の姿が写っています。
(↑南半球の記録的な波の影響で、今週北半球のアメリカ西岸でも波が高くなるという)
高さの物さし
23.8メートルとは具体的にどのくらいの高さでしょうか。
建物でいえば、8階建ての高さに相当します。参考までに、奈良・東大寺の大仏を下から見上げた時の高さは18メートル、札幌の時計台の高さは20メートルですから、これらよりもさらに高いということになります。
波の世界記録
専門家によると、北半球は南半球よりも高波が発生しやすいようです。北半球、特に北大西洋では、急速に発達する低気圧、いわゆる「爆弾低気圧」が発生しやすいためです。
実際、過去に北半球で観測された波高も、今回の南半球の記録を上回っています。
サーフィンの記録
例えば、つい先日ギネスブックが『史上最大の波に乗ったサーファー』を認定しましたが、そのサーファーが乗った波の高さというのが、「24.4メートル」でした。これは去年の11月にポルトガル・ナザレで出た記録です。下の動画から、その時のサーフィンの様子が見られます。
有義波高の記録
一方、世界気象機関(WMO)は「有義波高」という、波全体の上位3分の1の波高を平均した値の記録をとっていますが、それによると、2013年2月4日にアイスランドとイギリスの間の北大西洋上で観測された「18.9メートル」が世界最高記録だとしています。
統計学上、波の高さは有義波高の2倍近い値になることがあるので、もしかすると、この時35メートルを超える波が発生していたとしてもおかしくないのです。
さらに同海域では2000年2月8日にも(ブイではなく)船舶によって29.05メートルの波が観測されていますから、この海域が世界で最も荒れ狂う場所といえるのかもしれません。