我が子とよその子を比べるのは悪いことではない~元保育士パパが教える【子育ての考え方】
子育てをしていると、いろいろな場所や場面でよその家の子どもと一緒になる機会があります。同じ年頃の子どもがいる場で子ども同士が仲良くなって一緒に遊んだり、親同士も子育ての話が弾んだりした経験がある人は多いでしょう。そのときに、つい我が子とよその子を比較してしまったことはありませんか?
子どもは同じ年齢でも、一人ひとり違います。しかし、同じ年齢の子どもが一緒にいると、「よその子はたくさん話しているのに、うちの子はまだ言葉が出ない」とか「よその子はおもちゃの貸し借りをしながらお友だちと仲良く遊べるのに、うちの子はおもちゃを独り占めしている」などつい比べてしまい、気になったり心配になったりしてしまうものです。
しかし、子育てにおいては自分の子どもとよその家の子どもを比べるのは良くないと言われています。今回の記事では、我が子とよその子を比べることはよくないと言われる理由や、本当にいけないことなのか考えてみたいと思います。
我が子とよその子を比べるのはなぜ良くないのか?
「隣の芝生は青く見える」という言葉があるように、我が子とよその子を比べると、自分の子どもはよその子どもよりも劣っているように見えてしまいがちです。そのため「よその子に比べて我が子の発達が遅れているのではないか」と、心配になってしまう人がいます。「自分の子育ての仕方がよくないのではないか」と自信を失くしてしまったり、「配偶者の子育ての仕方が悪いのではないか」と相手を責めて夫婦喧嘩になってしまったりすることもあるでしょう。
また、「○○ちゃんはお行儀がよいのに、あなたはお行儀が悪いわね」など、子どもに向かって友だちと比較して否定する言葉をかけてしまう人もいます。子どもはただでさえ否定されると「自分はダメなんだ」と感じて自己肯定感が低くなってしまいますが、誰かと比較されるとますます自己肯定感は下がる一方でしょう。
親と子どもは別の人格ですが、自分の子どもとなると客観的に見ることは難しいものです。第三者が見ると欠点には全く感じないことでも、親は「我が子ができていない」と感じてしまうことがあります。
また、よその子との比較だけではなく、兄弟姉妹がいる家庭ではきょうだい同士で比べてしまい、きょうだいと比較して否定されることで「自分は親に愛されていない」と感じて傷ついてしまう子どもが多いのです。
つまり、我が子とよその子を比べるのが良くないのではなく、比べた結果、親が子どもの悪いところばかりを気にしたり子どもに対してマイナスの言葉をかけたりしてしまうことが良くないので、避けなければなりません。
我が子とよその子を比べたときの考え方と注意点
我が子とよその子と比べないようにできれば良いですが、比べてしまうのは自然な現象なので難しいでしょう。したがって、比べるようにしないのではなく、比べたときの考え方が大切です。我が子とよその子を比べたときの考え方や注意点を4つ紹介します。
我が子とよその子を比べたときの考え方と注意点① 自分の子どもを知る
まず、子どもは一人ひとり違い、成長や発達のスピードも全員違うということをしっかりと認識しましょう。そのうえで、よその子どもと一緒にいる場面を見たときは「できている」「できていない」という観点で見るのではなく、我が子の得意なことや苦手なこと、その子自身の個性を知るための参考にするという意識をもつことが大切です。
子どもは、公園や商業施設のキッズスペース、保育園の参観などで家とは全く違う姿を見せることがあります。「家ではよくしゃべるのに外ではおとなしい」「家ではおとなしいのに、友だちと一緒だと思ったより活発に遊ぶ」など、意外な姿に驚くこともあるでしょう。よその子と比べるよりも我が子の新鮮な姿に目を向けるように意識してみてください。
また、たとえば保育園の参観に行ったとき、ほかの子ども達が大きな口を開けて歌っている中、我が子の口があまり開いていなかったとします。すると「うちの子は、どうしてほかの子のように大きな口を開けて歌わないんだろう」とマイナスに捉えてしまいがちです。しかし、マイナスにとらえず「うちの子は恥ずかしがり屋なんだな」とか「うちの子は歌があまり好きではないのかもしれない」というようなとらえ方をしましょう。マイナスにとらえるのではなく、我が子の個性だと解釈することが大切です。
我が子とよその子を比べたときの考え方と注意点② 過去と比較する
ほかの子との比較ではなく、その子自身の過去と比較する意識をもちましょう。前述した参観の例の場合、翌年の参観では大きな口を開けて歌うかもしれません。そのときは、1年の成長を喜ばしく感じることができるはずです。翌年以降も大きな口を開けて歌えなければ、「やっぱりうちの子は恥ずかしがり屋なんだ」と、我が子の個性を受け止めましょう。中には、保育園では引っ込み思案だった子が小学生になったら見違えたように活発になることもあります。長い目で見守り、1年前、数年前、数カ月前など過去の我が子と現在の我が子を比べると、より成長を実感することができるでしょう。
我が子とよその子を比べたときの考え方と注意点③ 発達の目安にする
前述した2つの方法を心がけても、どうしてもよその子どもと比べて「発達が遅れているのではないか」などと心配に感じてしまうことがあるでしょう。しかし、前述したように決して子どもに向かってほかの子どもと比べて否定するような言葉をかけないよう十分注意してください。
そして、発達面で気になる面があるなら、普段の生活の中でも気になる部分をよく観察し、過去のその子と比べて成長や発達を確認しましょう。それでも気になるようなら、専門機関に相談するなど早めに対処することも必要です。発達に問題がある場合もあれば、成長とともに気にならなくなるケースもあります。どちらにしても、不安を解消するきっかけになるでしょう。
我が子とよその子を比べたときの考え方と注意点④ 我が子をひいき目で見る
よその子よりも我が子が劣っているところを探すのではなくて、我が子の優れているところや良い面を見つける努力をしましょう。子どもも大人も、誰でも良い面と悪い面があるため、子どもの良いところをたくさん見つけられれば親も嬉しく、安心できるでしょう。そして、よい面を本人にたくさん伝えて褒めることで、子ども自身も自信や意欲、自己肯定感につながります。
まとめ
親はどうしても我が子とよその子を比べてしまうものです。比べないようにすることが望ましいですが非常に難しいことなので、比べてしまう自分自身や比べること自体を責めることはやめましょう。やってはいけないことは、比べた結果マイナスにとらえたり子どもを否定したりすることです。我が子とよその子を比べて感じたことをプラスにとらえ、子どもの健やかな成長や発達に活かす意識を忘れず、子どもに接してください。