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ノート(35) 夜間騒然とする拘置所、元特捜部長らの逮捕で新たな展開へ

前田恒彦元特捜部主任検事
(ペイレスイメージズ/アフロ)

~解脱編(7)

勾留10日目

延長決定

 「書類が届いているから、確認してくれるか」

 廊下に面した監視窓から、刑務官がそう声をかけてきた。夕食前の午後、自殺防止房の定位置に座り、司法修習同期で友人の弁護人が差し入れてくれた司馬遼太郎「坂の上の雲」を読み返していた時のことだった。

 監視窓の下に設置されていたアクリル製の四角い小窓を開け、「称呼番号(しょうこばんごう)」と呼ばれる固有の番号を確認されると、刑務官が1枚の書類を差し出してきた。

 僕の勾留質問を行い、10日間の勾留を決めた裁判官が、その期間を更に10日間、すなわち10月11日まで延長する、とした決定書のコピーだった。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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