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【新型コロナ】アイルランドの失業率、驚きの28%に急増 若年層の半分は職なしに

小林恭子ジャーナリスト
コロナ前の光景ーパブで音楽を演奏(Tourism Ireland Flickr)

 新型コロナウイルスの感染拡大が、世界経済に大きな打撃を与えている。

 感染者数・死者数とともに世界最大となったのが米国だ(感染者数約128万人、死者数約7万6000人)。8日、米労働省の発表によると、米国の4月の失業率は前月(4・4%)から急上昇し、14・7%に悪化したという。1930年代の世界恐慌に次ぐ数字ということで、大きな衝撃だが、同日、さらに驚くニュースが出た。

 アイルランド中央統計オフィスの発表によると、アイルランドの4月の失業率が28.2%を記録したというのである。3月には5・4%(コロナによる影響を入れない場合)であったので、急激な下落である。15歳から24歳の若者層に注目すると、失業率は52・8%に。半分が職を持たない状態だ。これまで、コロナによる負の影響を最も受けやすいのは若年層と言われていたが、その説を裏書きした格好である。

 3週間前、アイルランド中央統計オフィスは4月-6月の失業率を22%と予測しており、さらに悪化した数字となった。

 アイルランドでは、新型コロナウイルス感染症(「COVID-19」)で影響を受けた人に提供する福祉手当をすでに60万人が受け取っている(ちなみに、アイルランドの人口は約490万人)。また、雇用支援制度を申請した人は42万7000人。合計すると約100万人が政府支援を受けることになる。雇用支援制度は、政府が給与の最大70%までを12週間払う仕組みだ。

 アイルランドはコロナ危機前、失業率が低く(2月は4・8%)、2008年の世界金融危機から回復した国として評価されていた。しかし、コロナ危機によって小売業、ホテル、レジャー産業が閉鎖状態になったことで失業率が大きく上昇してしまった。

 アイルランドのレオ・バラッカー首相は、ロックダウン状態を次第に解除させる方針を示している。これが少しでも雇用状況の改善につながるとよいのだが。

 アイルランドの新型コロナウイルス感染者は、7日時点では2万2385人、回復者が1万3386人、死者数は1403人となっている。

ジャーナリスト

英国を中心に欧州各国の社会・経済・政治事情を執筆。最新刊『なぜBBCだけが伝えられるのか 民意、戦争、王室からジャニーズまで』(光文社新書)、既刊中公新書ラクレ『英国公文書の世界史 -一次資料の宝石箱』。本連載「英国メディアを読み解く」(「英国ニュースダイジェスト」)、「欧州事情」(「メディア展望」)、「最新メディア事情」(「GALAC])ほか多数。著書『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)、『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス』(洋泉社)、共訳書『チャーチル・ファクター』(プレジデント社)。

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