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「金正恩白頭山詣で」 世界が驚く北朝鮮の「雄大な作戦計画」とは!?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
白頭山で白馬に跨っている金正恩委員長(出典:労働新聞)

 金正恩委員長が朝鮮半島の聖山でもあり、北朝鮮の革命の聖地でもあり、父親(金正日総書記)の生誕地でもある白頭山を昨日(15日)白馬で登頂した。

 金委員長が白頭山のある中国と国境を接している両江道三池淵郡に訪れたのは過去6回ある。いずれも、登山後に重大事変が起きている。

 1回目は2013年11月29日で、最高指導者就任後初の三池淵郡視察であった。平壌に戻った10日後の12月8日、金委員長は党中央委政治局拡大会議を開き、叔父である張成沢国防副委員長を「反党、反革命分子」として断罪し、4日後の12日には軍事法廷で極刑を宣告し、処刑している。

 2回目は2014年11月20日で父親の3周忌(12月17日)との関連で三池淵に赴いたと伝えられていたが、翌2015年の新年辞で軍力強化の4大戦略路線と3大課業を打ち出し、最先端武装装備を積極的に開発するよう党と軍に命じていた。

 3回目は2015年4月18日で、直後に軍No.2の玄永哲人民武力相が処刑されている。

 4回目は2016年11月27日で、翌年(2017年)の新年辞で金委員長は大陸間弾道ミサイル(ICBM)について初めて言及し、「試験発射準備が最終段階に達した」と述べていた。また、新年辞から44日後の2月13日には義兄の金正男暗殺事件が起きている。

 5回目は直前(11月29日)に北朝鮮初のICBM「火星15型」の発射に成功した2017年12月8日。翌年の新年辞では対決姿勢から一転、米韓への対話姿勢に転じ、平昌五輪への参加を表明し、世界を驚かせた。

 6回目は2019年4月4日で、5日後の9日に党中央委員会政治局拡大会議を開き、13日には最高人民会議第14期第1次会議に出席して以下のような内容の演説を行った。

 「米国が姿勢を正し、我々と共有できる方法論を見出す条件の下で3度目の首脳会談をやろうと言うならば、もう一回、やってみる用意はある。どちらにせよ、今年末まで忍耐を持って米国の勇断を期待するが、前回のように良い機会を再び手にするのは容易ではない」

 これ以外にも、白頭山には登頂しなかったが2016年4月22日には白頭山に完成した「白頭山英雄青年3号発電所」を視察していたが、翌日(23日)には潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中試射に立ち会っていた。また、2018年8月19日にも三池淵郡の建設現場を訪れていたが、翌月(9月18日)には文大統領を平壌に招請し、3度目の首脳会談を行った。ちなみに、この時も金委員長は文大統領をエスコートし、白頭山に登頂していた。

 今回で7回目、4月4日以来195日目の白頭山詣でについて朝鮮中央通信が「(金委員長の)軍馬行軍の道は我が革命史に振幅が大きい意義を持つ事変となる」とか「随行した幹部らは再び世界が驚く我が革命を一歩前進させる雄大な作戦が計画されていることを確信した」と伝えているところをみると、金委員長は一大決心をしたようだ。

 米国との実務協議再開やトランプ大統領との首脳会談に向けての決断なのか、それとも、交渉打ち切りを想定した潜水艦弾道ミサイルや人工衛星の発射に踏み切るのか、どちらにしても、近々、大胆な行動に出るのは間違いない。

 決裂した米朝ストックホルム実務交渉後に示唆していた核・ミサイル開発の再開を決意したのか、それとも、米韓首脳との対話継続を決意したのか、父親の命日である12月17日までは金委員長の言動には目が離せない。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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