総数3461万人・総人口比は27.3%にまで増加した日本のお年寄り
総務省統計局が明日の「敬老の日」に合わせて発表した報告書「統計トピックスNo.97 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-」によると、最新の統計値として日本の高齢者(65歳以上)数は3461万人(2016年9月15日現在)となった。これは総人口比の27.3%にあたり、前年の3388万人・26.7%からさらに増加し、数・総人口比共に過去最高の値を示している。
今回の公開値は高齢者数・総人口比は人口推計から取得(5年区切りの国勢調査実施年の値は国勢調査の結果を反映)、その他各種値は総務省統計局収録の各種データを元にして精査分析したもの。それによれば2016年9月15日時点で高齢者人口は3461万人。単純対象比較ができる1年前の2015年分の3388万人から73万人も増加している。
高齢者の増加ピークとなる「団塊の世代」(1947年から1949年生まれ、第一次ベビーブーム期)のうち最後の年となる1949年(昭和24年)生まれの人が高齢者層に仲間入りした2014年では同一基準で前年比110万人も増加したが、それよりは少なくなっている。また2014年でははじめて、総人口に占める高齢者の割合が、はじめて25.0%を超え、「4人に1人以上が高齢者の時代」が到来したが、今年2016年はその状態を継続しただけでなく、数字を前年の2015年分にあたる26.7%からさらに上乗せ、27.3%に達している。大よそ100人の人口の村があれば、そのうち27人がお年寄りである。さらにいえば75歳以上ならば約13人、80歳以上ならば約8人が該当する。
今レポートでは他にも各種統計結果から、高齢者の動向が多彩な切り口で語られている。概要をまとめると次の通りとなる。
・女性の高齢者比率は30.1%。はじめて30%を超えている。女性の10人に3人は高齢者の時代。
・日本の高齢者人口の割合は、欧米諸国などと比べてももっとも高い。日本の27.3%に対し、イタリアでも22.7%、ドイツで21.4%、フランスで19.5%。
・東京都、大阪府など24都道府県で高齢者の転出超過。千葉県、埼玉県、神奈川県など23府県で転入超過。震災被災地域からの流出はほぼなくなり、むしろ昨年から続く形で宮城県のように増加した県もある。また関東地方に代表されるように、大都市そのものからその近接する都市近郊への流入傾向が続く。
・高齢者の就業率は男性30.3%、女性15.0%(2015年時点、以下同)で計730万人。男女とも前年から増加。15歳以上の就業者総数に占める高齢者の割合は11.4%、比較可能な1968年以降では過去最高。そのうち非正規社員率は約7割(役員除く)。
・高齢雇用者(高齢者で雇用されている者)の非正規率は7割超、理由は「自分の都合の良い時間に働きたいから」が31.7%で最多。正規雇用を望んでいるが該当する仕事が無いからとする人は8.8%。
・二人以上の高齢者世帯の平均貯蓄現在高は2430万円、ゼロの世帯も含めた中央値は1547万円。定期預貯金がほぼ半分。
・二人以上世帯の高齢者世帯でネットショッピングをした世帯は13.6%。前年の12.0%からは1.6%ポイントの増加。ネットショッピングの支出金額でもっとも大きな額面を示した項目は旅行関係費で22.5%、次いで食料が16.4%。世帯主が65歳未満の二人以上世帯と支出構成比で比較した時の倍率は、医薬品・健康食品が1.82倍ともっとも高い。
「団塊の世代」の高齢者層入りは2014年までのため、高齢者人口、総人口に占める高齢者の比率の加速的増加は2014年で終わりを告げている。実際、今回の2016年分では前年と比べて増加数は減退している(2015年における前年増加数は84.0万人、2016年では73.0万人)。
しかしそれでもなお、高齢者の総人口比率が上昇していることに違いは無い。社会福祉をはじめとした各種の国や地方自治体の行政施策に関し、これまでの常識にとらわれない、現状を正しく認識し、将来を見え得た上でのかじ取りが求められよう。
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