Yahoo!ニュース

紀子さま誕生日コメントで言及された悠仁さま進学問題などの大論争と、気になる「紀子さま胃腸問題」

篠田博之月刊『創』編集長
秋篠宮さまと紀子さま(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

紀子さまが誕生日に際してコメント発表

 9月11日、58歳の誕生日を迎えた秋篠宮妃、紀子さまが宮内記者会の質問に文書で寄せた回答が一斉に報じられた。回答全文はいろいろなメディアで紹介されているが、なかなか微妙な質問に波風立たないような配慮を施した内容だ。

 例えば「ネット上でのバッシングをどのように受け止めているか」との質問だが、これは明らかにこの間、悠仁さまの進学をめぐる批判的な報道を念頭に置いたものだろうが、回答はこうだ。

「ネット上でのバッシングによって、辛い思いをしている人が多くいるのではないかと案じています。私たち家族がこうした状況に直面したときには、心穏やかに過ごすことが難しく、思い悩むことがあります」

 話をネットバッシング一般に置き換えてしまった回答だが、秋篠宮家バッシングにも言及。しかしその後、「その一方で、公的な仕事を通して、あるいは普段の生活でも、私たち家族のことを大切に思ってくださり、理解してくださる方々がいらっしゃることを誠にありがたく感じております」と、無難なまとめを行っている。恐らく何人もが目を通し、ストレートな物言いでさらにバッシングを受けることのないよう配慮した回答に仕上げたのだろう。

進学先は「長男自身が決めたことを尊重」

 この間、悠仁さまが「学校推薦型選抜」を用いての東大受験することを考えていると週刊誌やネットで批判されたことを念頭に置いた質問「今後の進路をどう考え、サポートされていますか」には、こう回答した。

「学ぶ場所は、長男自身がしっかり考え、決めたことを尊重したいと思っております」

 この間の報道では、「学校推薦型選抜」を用いての受験は、紀子さんら親が根回しをし、推進しているのではと言われてきたが、その批判を否定した回答だ。もちろん公式見解ではそう言わざるをえないのだろうが。

 この悠仁さまの進学問題は、東大進学に反対の署名運動が起こる一方、天皇家というのは特別な存在で、一般受験でないのは何も問題はない、という論者も多く、論争になっている。天皇後継問題とも結びついている問題だけに、論争は拡大していると言えよう。

 紀子さまの回答は、全体として無難にまとめた内容だが、その中にも本音をチラっと示すなど、秋篠宮家や宮内庁にとっては、ひとつのメッセージを投げたということなのだろう。

 同じ9月11日の宮内庁の西村泰彦長官の記者会見では、悠仁さまの進学先について一部メディアで「根拠のない情報」が流れていると、釘を刺す発言がなされている。

『週刊新潮』9月12日号(筆者撮影)
『週刊新潮』9月12日号(筆者撮影)

再び『週刊新潮』がぶちあげた悠仁さま進学問題

 実はその会見前週発売の『週刊新潮』が9月12日号で「人知れず悠仁さまの『トンボ論文』が8カ所も訂正されていた」という記事をぶちあげている。同誌は「学校推薦型選抜」による東大受験の可能性をすっぱ抜き、この間、秋篠宮家批判を続ける急先鋒だが、次々とこういう報道を繰り出している執念はすごいと言うべきかもしれない。

 今回の記事の内容は、8月に京都で開かれた国際昆虫学会議で悠仁さまが発表した論文に8カ所の訂正がなされたというものだ。この発表論文は「学校推薦型選抜」を用いての受験で評価の対象になるのではと言われているもので、この記事はもちろん、それを念頭に置いたものだ。

 ただ記事を読むと、訂正がなされること自体は「ないことではありません」というコメントもあるから、重大な問題ではないのかもしれない。しかし、悠仁さまの進学をめぐってこんなふうに週刊誌報道が続いていることを、秋篠宮家はかなり気にしているに違いない。

『週刊新潮』は悠仁さまの高校進学の時から、皇族の特権を利用した進学といった見方からの批判を展開しており、この問題についてのスタンスが一貫していると言える。

 なお、この悠仁さま進学論争については、ヤフーニュースの下記記事を参照いただきたい。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c79ba9489850f64ceaf520a2c3133d6c6beff67a

悠仁さま東大進学論争、天皇夫妻の那須静養「異変」と、皇室めぐって続く騒動

『週刊文春』9月12日号(筆者撮影)
『週刊文春』9月12日号(筆者撮影)

林真理子さんが秋篠宮家バッシングに苦言

 悠仁さまは9月6日に18歳の誕生日を迎えて成年皇族となったのだが、『週刊文春』9月12日号は「悠仁さまご成年『私はこう考える』」と題して5人の識者の見解を特集している。

 その中で作家の林真理子さんは、この間、愛子さまを持ち上げ、悠仁さまを叩くというネットや週刊誌の報道に苦言を呈し、これは「小室さん問題」の影響だと指摘している。同時に、今の皇室をめぐる大きな問題は、若い世代の皇室への関心が薄れていることだとし、これを何とかすべきだと提言している。

 そのほかも、前京大総長の山極壽一さんが「悠仁さまは一般人とは違うので、一般人と同じスタートラインに立っても仕方がない。大学の受験競争に巻き込まれる必要はないと思います」と語ったり、尾木直樹さんが「大切なのは学歴より“学習歴”」と語るなど、『週刊文春』のこの特集は、『週刊新潮』と一線を画したスタンスをとっているように見える。

 『AERA』9月9日号も「秋篠宮家・悠仁さまの大学進学問題 皇族の進学先 東大はありか」というテーマで3人の識者の見解を掲載していた。その中で関東学院大教授の君塚直隆さんは、悠仁さまの進学をめぐって憶測が広がっていることに対して宮内庁が何の説明も情報発信もないことが問題だと指摘し、「英国王室に学び広報を」と提言している。

 確かに悠仁さまの進学問題が大きな論争になっていることに関して、宮内庁が何の情報発信もしないことへの批判は高まっており、冒頭に掲げた紀子さまの誕生日における回答や宮内庁長官会見での発言は、そうしたものを気にしたゆえの対応だろう。

自民党総裁選と女性・女系天皇論争

 自民党総裁選絡みでは、総裁候補、特に小泉進次郎議員が女系・女性天皇問題についてどう考えているのかを取り上げる週刊誌が多い。『女性セブン』9月19日号の巻頭特集は「『愛子を天皇に』進次郎が挑む20年因縁」。父親の小泉純一郎氏が首相の時に手を付けながら決着がついていない因縁のその問題に進次郎氏がどう対応するのかと期待を寄せた内容だ。

 一方、『サンデー毎日』9月15日号の森暢平さんのコラム「社会学的皇室ウォッチング!」もその問題に言及している。そして末尾でこう書いている。

「小泉元首相の子息小泉進次郎が首相となったら、父親時代の検討を踏まえ女性・女系天皇論議が再燃するという見方がある。だが、自民党そのものが極端に保守化しており、党として舵をもとに切り直すことは考えにくい。そもそも、進次郎はこの問題に発言したこともなく、ほとんど期待できないだろう」

 それぞれスタンスは異なるものの、悠仁さま進学論争を機に週刊誌の皇室報道は拡大しており、まだ続きそうだ。

気になる『女性セブン』9月19日号(同)
気になる『女性セブン』9月19日号(同)

気になる『女性セブン』の「紀子さまの胃腸問題」

 最後に、秋篠宮家をめぐる報道で、前出には、紀子さまをめぐるもっと気になる記事が掲載されていたことも書いておこう。「紀子さま 宮内庁大腸スコープ予算要求で再燃 胃腸の不安」だ。一部引用しよう。

「宮内庁が8月30日、来年度予算の概算要求を公開した。要求総額は187億円で、今年度の予算額から15%ほど減少。全体的に減少傾向のなか、目を引くのが、『医療環境の整備等』として計上された1億4400万円だ。この項目は19年頃まで多くとも1億円程度で推移してきており、わずか数年で約1・5倍も増額されたことになる」

 それを受けて、記事では匿名の宮内庁関係者がこう証言している。

「特筆すべきは、今年度から以前の10倍ほどの予算が計上されている『大腸ビデオスコープ』です。来年度も引き続き使用を継続するようで、紀子さまの胃腸の不調が続いている証左ではないかといわれています」

 この問題については、週刊誌で断続的に報道がなされており、ヤフーニュースでも紹介した。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/071ff9d491ca81d3016b270c3a24fbc2fa2099fe

秋篠宮家の内情をめぐる『週刊現代』の2週にわたる報道が気になる

 実は冒頭に紹介した紀子さまの誕生日コメントでも、宮内記者会の質問には、紀子さまの健康状態についての質問が含められていた。一連の週刊誌報道を念頭に置いて記者会が尋ねたのだろう。

 ただ、紀子さまの回答は、具体的なことにはいっさい触れず、こうだった。

「いま、公的な仕事やさまざまな活動をしながら、日々の生活を送ることができる体調になりましたことを大変ありがたく思っております。

 体調がすぐれなかった時期には、不安を抱いていましたが、家族のやさしさ、周囲のあたたかな言葉や気遣いが大きな支えになりました。

 また、自分の食生活や睡眠、仕事のペースを見直しながら、ゆっくりと身体を休めるように心がけるようにしました。

 このような中で、徐々に回復してまいりました」

 昨年来、体調不良が問題になったことには言及したものの、週刊誌が何度も報じている宮内庁の医療関係予算の増額には全く触れなかった。今回の『女性セブン』報道を含めて、この問題は謎のまま、報道はまだ続きそうだ。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

篠田博之の最近の記事