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寒冷渦接近で関東・北陸など広範囲に雷雨のおそれ…気温も大幅ダウン:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
2日昼過ぎの発雷確率(気象庁データを元に作成)。広範囲で激しい雷雨になるおそれ。

2日は上空に強い寒気を伴った低気圧が接近し、東日本と東北の広い範囲で雷雨になりそうです。気温も25度に届かないところが多いでしょう。
また雨や雷だけでなく突風やひょうといった激しい現象を伴うおそれがあり、外出する必要のある人は空の様子の変化に十分注意をしながら行動してください。

本州には寒冷渦、沖縄には前線+元台風

2日9時の予想天気図(気象庁HPより)。北陸に近づく低気圧の上にはこの時期としては非常に強い寒気が。また沖縄の八重山諸島には前線がかかり、元台風が取り込まれる。
2日9時の予想天気図(気象庁HPより)。北陸に近づく低気圧の上にはこの時期としては非常に強い寒気が。また沖縄の八重山諸島には前線がかかり、元台風が取り込まれる。

2日は日本海の低気圧が北陸に接近し、この低気圧の上空に今の時期としてはかなり強い寒気があるため大気の状態が不安定になりそうです。
今回のようなパターンを「寒冷渦(かんれいうず)」と言い、激しい雨だけでなく落雷やひょう、突風など激しい現象を伴いやすいにも関わらず、天気図では小さな低気圧しか描かれないことが多いため、油断しがちな危険なパターンです。

また通常、上空に寒気が流れ込んで大気の状態が不安定になる場合、夕立のように午後から雨が降り出すパターンが多いですが、今回は寒気が非常に強く、朝から雷雨というところが出てくるでしょう。

2日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPより)
2日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPより)

一方、沖縄にかかる前線には元台風2号である熱帯低気圧が一体化し、元台風由来の暖かく湿った空気が流れ込んで、八重山諸島を中心に激しい雨が降るでしょう。

雨だけでない!突風やひょうも…

2日の発雷確率(気象庁データを元に作成)。東日本~東北の一帯に確率の高いエリアが広がる。
2日の発雷確率(気象庁データを元に作成)。東日本~東北の一帯に確率の高いエリアが広がる。

大気の状態が不安定になるとき、気象予報士がよく参考にする「発雷確率」というデータがあります。
「発雷確率」が高い場所は、もちろん落雷の可能性も高いですが、それだけでなく竜巻などの突風が発生したり、ひょうが降ったりする可能性も高くなるのです。

今回、2日は東海・関東・北陸・東北の広い範囲で、ほぼ1日中「発雷確率」が高くなっていて、危険な状態が広域かつ長時間続くおそれがあります。できれば外出を避けたいレベルの危険度です。

どうしても外に出る必要がある場合は、空の様子の変化に気をつけて、黒っぽい雲が近づいてこないか、雷の音が聞こえないか、ひゅーっと冷たい風が吹いていないか、確認しながら過ごしてください。

3日以降も雷雨はまだまだ続く!

今回のように「寒冷渦」がやって来て大気の状態が不安定になるとき、おおむね3日間くらいは雷雨になりやすい状況が続きます。

今回も、6月3日以降も雷雨は続く見通しで、広い範囲では4日(火)まで、そして一部では5日(水)まで続きそうです。

また気温もしばらく上がらず、この時期としては涼しいくらいのところが多くなるでしょう。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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