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パドレスの大補強。3日間に6件のトレードを成立させ、10人を獲得。捕手は2人を入れ替え

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・クレベンジャー Jul 31, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 サンディエゴ・パドレスが、今夏のトレード市場を席巻した。8月29日~31日の3日間に6件のトレードを成立させ、計16人を手放し、計10人を手に入れた(放出も獲得も、PTBNL=後日指名選手を含む)。

筆者作成
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 なかでも、最も大きな補強は、クリーブランド・インディアンズから獲得した、先発投手のマイク・クレベンジャーだろう。過去3シーズンとも、防御率は3.20未満。今シーズンも、4先発で防御率3.18を記録している。

 インディアンズは、シカゴ・ホワイトソックスと地区首位を争っている。その上、クレベンジャーがFAになるのは、2022年のオフだ。通常であれば、このタイミングでの放出はあり得ない。けれども、8月上旬のシカゴ遠征中、クレベンジャーとザック・プリーサックの2人は、新型コロナウイルス感染防止のプロトコルに反し、ホテルを抜け出して食事に出かけた。インディアンズがクレベンジャーを手放したのは、この件が理由だと思われる。プリーサックの外出が発覚した直後のミーティングで、クレベンジャーは自分も一緒だったことを黙っていた。インディアンズとしては、この点を重く見て、クレベンジャーだけを放出したのだろう。先発投手を2人も同時に放出するわけにはいかない、という事情もあったのかもしれない。クレベンジャーよりもプリーサックの方が若く、FAになるまでの期間も長い。

 また、パドレスは、ブルペンに2人のクローザーを加えた。今シーズン、トレバー・ローゼンタールはカンザスシティ・ロイヤルズで7セーブを挙げ、テイラー・ウィリアムズはシアトル・マリナーズで6セーブを記録している。どちらも、セーブ失敗は一度もない。

 そして、彼らとバッテリーを組む捕手は、メンバーを入れ替えた。8月半ばにフランシスコ・メヒーヤが故障者リストに入った後、スタメンマスクを分け合っていたオースティン・ヘッジスルイス・トレーンスをいずれも放出し、ジェイソン・カストロオースティン・ノラを獲得した。

 流動的だったDHには、ミッチ・モアランドを加えた。こちらも、DHとして5試合以上に先発出場していた4人のなかから、タイ・フランスジョシュ・ネイラーの2人を放出している。

 これらの補強により、14年ぶりのポストシーズン進出に向けて、陣容は整った。それだけでなく、22年ぶりのワールドシリーズや球団初のワールドシリーズ優勝も、パドレスは視野に入れているはずだ。

 なお、パドレスは8月上旬に、アトランタ・ブレーブスからヨンダー・アロンゾも獲得している(金銭トレード)。ただ、同じ左打ちの一塁手、モアランドが加わったことで、アロンゾが昇格して義弟のマニー・マチャド――マチャドの妻はアロンゾの妹――とともにプレーする可能性は、さらに低くなった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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