高齢者自身に聞いた「高齢者は何歳ぐらいから?」
歳を取った人達の総称は「高齢者」「シニア」など色々と用意されているが、年齢上の明確な仕切り分けは無い。大よそその年齢に当てはまりそうな人達自身は、何歳ぐらいを境目と見ているのだろうか。内閣府が2015年3月に発表した「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」(60歳以上男女対象、郵送配布・郵送回収形式で2014年12月実施)の結果から、その実態に探りを入れていく。
次に示すのは、「一般的には何歳頃から『高齢者』だと思いますか」との問いに対する回答。5歳区切りで60歳以上から85歳以上まで、そして具体的な年齢の記述、年齢では判断できず、分からないの選択肢が用意されている。ただし男女の差は言及されていない。
全体では70歳以上との意見が29.1%でもっとも多く、次いで75歳以上が27.9%。さらに80歳以上で18.4%。大よそ70歳から80歳ぐらいが「高齢者」としての仕切り分けの認識。男女別では男性よりも女性の方が、より歳を取ってから高齢者と見なすとの意見が多く、自身の性別を基準においているようすがうかがえる。
世代別ではきれいに「歳を経るほど『高齢者』判定の年齢も上昇する」動きを示している。大よそ75歳になると、過半数の人が自身を高齢者と見なすようだ。70代前半では4割近く。
一方でどの世代でも1割ほどは「年齢では判断できない」との回答を示しているのも興味深い。高齢者の定義は人それぞれで、年齢以外、例えば身体的状況、心の変化、さらには自分が想っていればいつまでも高齢者では無いはずだとの認識を持つ人もいるのだろう(一応設問では「一般的には」との説明もあるのだが)。
具体的な年齢区分を選択した人についてのみ集計をし直し、加重平均の形で平均値を算出したのが次のグラフ。
男性よりは女性の方が少し上、そして回答者が歳を経るにつれて「高齢者」の境界線も上昇していく。大よそ75歳前後が平均的な「自分も高齢者だな」と自認できるようになる、と見ればよいのだろう。
「高齢者」の明確な、法的設定は無いため、今件はあくまでも当事者に近しい年齢にある人たち自身の意見となる。若年層にも同じ質問をし、違いを確認できれば、さらに興味深い結果が出るに違いない。
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