鉄道利用客の迷惑行為ランキング、最上位は「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」
日本民営鉄道協会が発表した駅と電車内(鉄道)のマナーに関するアンケート(※)の結果によれば、鉄道利用時にもっとも迷惑と考えられている行為は「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」だった。
駅や電車は多人数が同時に参加・利用する公共の場でもある。当然道徳、倫理の類を守らないと、多数の人が迷惑をこうむることになる。今件ではそのような「鉄道施設内における迷惑行為」について尋ねている。
列挙されている事例のうち、自分が特に迷惑だと思う内容のものを3つまで挙げてもらった結果が次のグラフ。トップには「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」がついた。5割強の人が「迷惑だ」と感じている。
トップの「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」だが、新型コロナウイルスの流行に関連する結果だと思われる。行動規制は緩和されているが、多くの人が飛沫感染リスクを鑑み迷惑だと考えているようだ。調査結果報告書でも「昨年5月の外出時における行動規制の緩和を機に、電車内でマスクを外す人が徐々に増えたことで感染症に対する不安や危機感を感じた方が多く回答したとみられます」とあるが、2023年のランキングの時点ですでにその前年2022年での第5位から第2位に順位を上げており、2024年では、より多くの人が迷惑さを感じるようになったのが分かる。第3位の「騒々しい会話・はしゃぎまわりなど」も同様の理由だろう。
第2位は「座席の座り方」。具体的には足を大きく広げたり、姿勢を崩したり、あぐらをかくなどして、座席の設計時に想定したよりはるかに大きなスペースを取り、他の人の着席を邪魔するような行為が当てはまる。さらにはお年寄りや身体の不自由な方、妊婦の方などに席を譲らない行為や、子供が靴を履いたまま座席に立つ行為も含まれる。
第4位は「強い香り」。具体的には香水や洗剤、柔軟剤、化粧品などを指しているが、調査結果報告書では「化学製品類から発せられる香りを吸うと体調を崩されるなど、特に通勤・通学時の人との距離が近く密接する満員電車内における懸念に対する回答」と分析している。今項目は前年の第7位から順位を上げており、回答値も前年比で9.3pptと大幅アップ。それだけ香水などの香りが目立つような混雑度合いとなったのか、それとも使う人が増えたのか。
第5位は「乗降時のマナー」。詳しくは後述するが、具体的には「扉付近から動かない(乗降を妨げる、奥に詰めないなど)」がもっとも多く、「乗降時のマナー」のうち66.0%を占めている。自分が出入りがしやすいようにとの考えからだろうが、他の人の乗降には大変迷惑な行為に他ならない。「ドア際族」とでも表現すべきか。
今回の調査結果に関して、男女別に見ると、いくつかの違いが確認できる。
男女ともにトップは「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」。報告書でも指摘されていた、感染症に対する不安や危機感は男女を問わずに生じているようだ。他方、第2位を見ると男性は「座席の座り方」だが女性では第3位となっており、女性の第2位は「強い香り」。男性の第3位にあたる「騒々しい会話・はしゃぎまわりなど」は女性では第4位となっている。女性が強く感じる迷惑行為「強い香り」の香りは、果たして香水、洗剤や柔軟剤、化粧品のうち、どれが多いのだろうか。
迷惑行為のうち上位にある「乗降時のマナー」「荷物の持ち方・置き方」について、細分化をした上でもっとも迷惑を覚える行動を示してもらった結果が次のグラフ。
「乗降時のマナー」では2/3近くが「扉付近から動かない」。車両に乗り込んだら奥の方まで行けばよいのだが、混雑時には降車駅で降りられなくなるのではとの不安があり、扉付近のポジションを維持してしまう。その気持ちは理解できるが、乗降車する人には邪魔以外の何ものでもないのもまた事実ではある。
「荷物の持ち方・置き方」では「鞄などを背中に背負う」が27.3%でもっとも多い。かさばるものなだけに、特に混雑時には邪魔になり得る。「鞄などを体の前で抱える」も7.2%で入っており、それではどこで持てばいいのかと悩んでしまうが(手に持つのは重量や体積的に難しく、床や座席に置くのも迷惑行為として上位入りしている)。一方で「傘の取り扱い」も単独で23.5%と高い値を示しているのが気になるところではある。
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※駅と電車内のマナーに関するアンケート
正式名は「駅と電車内の迷惑行為ランキング」。2024年10月1日から11月30日にかけて同協会公式サイト上で行われたもので、有効回答数は5314人。男女比、年齢階層別構成比は非公開。協会サイトへのアクセス者による結果であり、鉄道に興味や関心を持つ人による結果であることに留意が必要。
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