明日ゴング! 日本ミニマム級タイトルマッチ
アマチュア時代に5冠を達成。2018年度の全日本選手権王者として、東京五輪出場を目指していた重岡優大(25)。五輪で金メダリストとなった後にプロの世界に飛び込むつもりでいたが、適正階級がなくなったため、拓殖大学を4年で中退してワタナベジムに入門。目下、5戦5勝3KOでWBCミニマム級4位にランクされる。
日本ライトフライ級ユース、WBOアジアパシフィックに続き、明日は自身3本目のベルトとして日本タイトル獲得を目指す。
優大よりも一足先にプロ入りした弟の銀次朗は、1月6日にIBF世界王座に挑む。その弟が返上し、空位となった日本ミニマム級王座決定戦に出場する形となった。対戦相手の仲島辰郎(28)は2022年3月に弟と対戦し、判定で敗れている。
優大は言う。
「全ての面で僕が上回っていますが、気持ちが強く、キャリアもある選手なのでそこは警戒しています。パンチ力、破壊力、スピード、キレ……、この階級では重岡兄弟が飛び抜けているだということを見せたいですね。素人が見ても分かる試合にしたいと考えています。
どのパンチでも倒せるから、『何でKOするか』に期待してほしいです。5ラウンド以内にKOしたいです」
2021年11月にWBOアジアパシフィックタイトルを獲得した一戦で、優大は自らの戦いぶりを猛省した。
「あの試合は相手陣営の声が気になって、集中力が削がれてしまいました。そこに自分の未熟さがありましたね。あまり考え過ぎずに、体が勝手に反応する。リアクションで戦えるようになりたいと思っています。もっと柔軟性を身に付けなければ。
今回の試合も、色々と考えていることはあるのですが、どのタイミングでそれを出せるか、局面局面で駆け引きしながらいかに自分の引き出しを出せるかですね。そういう戦いをするには心の余裕が必要だと思っています。お客さんが満員だろうと少なかろうと、どんな状況でも自分のボクシングを楽しんでやりたいです」
彼の語った「リアクション」とは、先日、先輩王者である京口紘人が寺地拳四朗戦のダウン後に見せた打ち合いのようなものである。記憶を飛ばしながらも、京口は激しいラッシュを見せた。
「そうです。ああいう感じです。どれだけ練習しても、本番と練習は違います。アドレナリンが大量に出てそれなりの緊張感もあって、意識がなくなっても自分のボクシングを貫く。体が反応する。本能で戦えるようになるのが理想です」
京口vs寺地戦については、「自分もこんな舞台でやりたい!」という思いでリングを見詰めていた。
「京口さんとは、結構スパーリングをやっていますから、当然応援していました。京口さんが負けるところを初めて目にして、身が引き締まりましたし、正直、格好良くて痺れました。僕自身も悔しさを覚えましたね。でも、負けてもジム頭であることは変わりませんし、京口さんも僕も、もっともっと強くなれると思うので、楽しみな気持ちがあります。
世界戦が決まった弟も、もちろん勝ってほしいし、その前にまずは自分が勝つぞというか。お互いに刺激を与え合う関係です。京口さん、WBO王者の谷口将隆さんという世界トップの先輩がいて、僕らがいて、アマのトップ選手が出稽古に来てワタナベジムでプロになるという流れがあって、切磋琢磨できる素晴らしい環境がありますよ。誰もが『ライバルに負けない』という思いで、頂点を目指して日々厳しいトレーニングに向かっています」
「僕が今回の試合に向けて課題としてきたのは、距離ですね。プロである以上、きちんとした自分のパンチが相手に当たれば、倒せることは間違いありません。でも、自分から仕掛けた時は、数ミリ以下の次元になります。ここでぶち当てる。ここで体をブラさずにリターンを返す。その後の体勢を立て直す。捨てパンチ、強弱、打ち分け……倒しに行く楽しみを感じながら、力み過ぎずに戦うことを意識してやってきました。肩の力が抜ければ、もっと試合を楽しめると思うんですよね」
重岡兄弟を指導する町田主計トレーナーも自信たっぷりに話した。
「仲島選手は、銀次朗戦以上にアグレッシブに出てくるでしょう。それは優大にとっても喜ばしいこと。中盤にノックアウトできるでしょうね」
明日の後楽園ホールに注目だ。