過去四千年で、最も暑い七月だった
どうやら今年の地球は、過去4000年の歴史の中で、最も高温の一ヶ月を経験したようです。
アメリカ海洋大気庁(以後NOAA)によると、先月7月の地球全体の温度は、16.8℃となり、観測を始めた1880年以来の高い温度となりました。そもそも7月は、一年で最も気温が上がるので、有史以来の高温といえます。
ではどうして昔の気温が分かるのでしょう。測器による温度の観測データは約130年間ほどしかありませんが、実は木の年輪やサンゴなど、様々なデータから過去の推定値が計算できるそうです。そして、それに比べると、先月は過去4000年の中で最も高温であった可能性が高いのです。
4000年前と言えば、日本では縄文時代。石器を振り回して、狩猟で生計を立てていた時代です。単純に比較できませんが、先月はそれほど昔にさかのぼっても、経験したことのないような暑さだった、というのですから衝撃です。
陸と海の温度を分けてみると、陸上では、過去6番目に高温の7月となった一方、海水温は、観測史上最も高い記録となりました。
つまり、この海の異常な高温が、「観測史上最も高温な7月」という、不名誉な記録を作り上げた可能性が高いのです。
海が陸よりも暖まる理由
では、なぜ海の方が空気よりも暖まったのでしょうか。それには、こんな理由があるようです。
一つは、去年から続くエルニーニョ。エルニーニョが起きると、東部太平洋の海水温が上昇します。しかも、今年のエルニーニョは、史上最強になる可能性まで指摘され、さらに悪いことに、今冬ひいては来春まで続くと予想されています。
そしてもう一つの理由は、水が空気よりも、熱を吸収して貯め込みやすい性質を持っていることです。そのため、海は陸よりも、温暖化の影響をまともに受けています。ある研究によると、温暖化により加熱された熱のうち、なんと海が90%も吸収しているといいます。
しかもその熱量は驚愕の域に達しています。ある研究者は、1990年から現在までに海が吸収した、温室効果による熱量は、同期間に広島の原子爆弾を5個同時に、しかも毎秒爆発させた時の熱量と等しいと指摘しています。
つまり、7月の史上最高温度は、エルニーニョと、温暖化のダブルパンチが招いた結果かも知れないのです。
日本近海の様子
上昇している世界の海水温ですが、もちろん日本近海も例外ではありません。それどころか、その割合は、かなり深刻です。
100年前と比べて、2014年の日本周辺の平均海面水温は、1.07℃も上昇しました。ちなみに、世界の平均は0.51℃です。
特に今年の夏は、海水温が例年よりも2~3℃も高い状態が続いています。今年の夏、関東から西日本にかけての太平洋岸に、サメの目撃情報が多く寄せられているのも、これが一因でしょう。海水温の上昇によって、サメが、今までの生息範囲を超えて北上しているとの指摘もされています。
また、もしこのまま温暖化が進めば、サメの北上だけではなく、海洋生物に過去300万年間で起きたことのないような最大の変化が起こるとも予測されているのです。
地球温暖化の原因は、国連などで人為起源とされていますが、その付けを払わされているのは人間ではなく、むしろ海に住む生物であるという実態が浮き彫りになってきたのではないでしょうか。