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衝撃負けに自責のソン・フンミン、沈むファン・ウィジョ。どうする!?ベント韓国

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
ソン・フンミンとベント監督(写真提供=FA photos)

アジアカップ準々決勝敗退に沈む選手たち

59年ぶりのアジアカップ制覇を目指しながら、準々決勝でカタール代表に0-1で敗れ韓国代表。早々と大会から姿を消すことになったその衝撃は大きく、韓国メディアの反応などは日本の複数のメディアでも紹介されている通りだが、選手たちもショックを隠されないようだ。

例えばイングランド・プレミアリーグのトッテナムで活躍するソン・フンミンだ。現地で取材している『スポーツソウル』のト・ヨンイン記者によると、かなり神妙な面持ちでミックスゾーンに姿を現し、「自分の責任であるし自分自身に腹立つ」と自責の念を隠さなかったらしい。

韓国代表でもチームのエースでありキャプテンを務めるソン・フンミンだが、今大会にはグループリーグ最終戦の中国戦から参加。招集時期を巡ってトッテナムと韓国サッカー協会が協議した末の決定だが、12月3日のアーセナル戦から1月14日のマンチェスター・ユナイテッド戦まで、約50日間で13試合をこなしてのUAE入りは明らかに強行軍だった。

(参考記事:悲鳴が聞こえそうなソン・フンミンの試合回数と出場タイムがエグい…

中国戦からいきなり出場する献身ぶりを見たが、結局、自身3度目のアジアカップはノーゴールに終わった。

アジアカップ初出場のファン・ウィジョも、もどかしさを隠さなかったという。グループリーグ初戦のフィリピン戦こそゴールを決めたが、その後は不発。カタール戦でも決定機が何度か決められず、カタールに先制を許した直後に訪れたチャンスも、VARでオフサイドの判定となり、起死回生のゴールとはならなかった。

ト・ヨンイン記者によると、ファン・ウィジョはVAR判定について心情を吐露しつつ、「もう少し緻密で速く動いていたら、チャンスを生かせたはずだった」と反省しきりだったという。

(参考記事:ファン・ウィジョ、VAR判定についても吐露「AGに続き頂点に立ちたかった…」

「プランBがなかったベントの愚策」との声も

もっとも、韓国メディアの批判の矛先は、選手個々よりもチームを率いるパウロ・ベント監督に集中している。

例えばカタールに先制されたあとの采配だ。守備に徹したカタールのディフェンスラインをなかなか崩せなかった状況を打破しようと、ベント監督はCBのキム・ミンジェを前方に上がるよう指示したが、「ベント監督が自らの編成ミスを示した愚策」と指摘されている。

というのも、確かにキム・ミンジェは身長188センチの長身で、今大会でもセットプレーから得点を決めている。イングランド・プレミアリーグのワトフォードも興味を示していると噂されている選手だ。

ただ、あくまでもCBが本職であってターゲット・タイプのストライカーではない。

それに、そもそも韓国には、10代のときからヨーロッパ各国リーグを渡り歩いている“身長191センチのジャーニーマン”ソク・ヒョンジュンや、一昨年のE-1選手権・日本戦でも爆発した“身長198センチのビッグマン”キム・シンウクらもいるが、ベント監督はソク・ヒョンジュンを選ばず、ロシアW杯組でもあるキム・シウンクに至っては一度も代表に呼んだことがない。

「ベント監督は自分が目指すポゼッションサッカーに固執し、長身ストライカーを活用するプランBの準備をしなかった。にもかかわらず、キム・ミンジェを前に出したのは、自分の頑固な選択が間違っていたことを認めるようなものだ。そのほかにもベント監督の采配には納得できないものが多かった。」(ド・ヨンイン記者)というわけだ。

(参考記事:【現地発】「カタール戦敗北はベント監督の敗北」韓国は完敗だった

「ベント大失敗…ポルトガル・メディアも憂慮」

個人的に気になるのは、こうした批判の声が今後、ベント体制にどのような影響をもたらすか、ということだ。

昨年9月の就任以降、ホームでウルグアイに勝ち、敵地でオーストラリアに引き分けるなど6戦3勝3分け無敗の成績で2018年を締めくってそれなりに評価を得ていたが、アジアカップで苦戦が続いたことでその評価も一転。

「可能性と限界の間…ベントのカリスマは通用するか」(『世界日報』)

「アジアカップ8強脱落を呼んだベントの固執」(『スポーツ韓国』)

「無気力なソン・フンミンを作ったのはベント、始まりは中国戦」(『イルガンスポーツ』)

「シュティーリケにも哲学、準優勝、新顔はあった。ベントは?」(『スポータルコリア』)

「ベント大失敗…耐えるのは容易ではないとポルトガル・メディアも憂慮」(『STAR NEWS』)

「衝撃的な脱落でも謝罪ひとつなかったベント監督」(『スポーツソウル』)

などと、かなり厳しい。

いずれにしても、カタールに敗れてアジアカップ準々決勝で姿を消した韓国。戦前から韓国で話題だった元バルセロナのシャビ予想とまったく同じ結末となってしまったのだから、皮肉だ。

(参考記事:シャビがアジアカップを予想。優勝はカタール、韓国と日本の成績は?

さすがに就任半年にもならない現時点で更迭や解任はないだろうが、韓国メディアやファンの厳しい目にさらされる中、ポルトガル人監督がいかにチームを立て直し自身の名誉を回復していくかを、注視していきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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