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「ソロ温泉」におすすめ! ひとり旅で訪ねる温泉地を選ぶ5つの視点

高橋一喜温泉ライター/編集者

「ひとりで温泉(ソロ温泉)に出かけたいので、おすすめの温泉地を教えてほしい」という質問をよく受ける。

ひとり旅の目的や好みは人それぞれなので特定の温泉地を答えるのは難しいが、ソロ温泉におすすめの温泉地の共通点は即答できる。

筆者はソロ温泉について次のように定義している。

「日常から離れて、空白の時間を味わうこと」

つまり、温泉地という非日常の空間で、ひとりで何もしない時間を堪能することが重要な目的である。

そこで、こうした目的にかなう温泉地の共通項を5つ紹介したい。

①観光地化されていない

観光地化された温泉地は、当然ながら家族や友人との旅行者に人気で、いつ訪ねてもにぎやかである。熱海や箱根、有馬、別府、由布院などをイメージするとわかりやすい。もちろん、そうした温泉地にも魅力はたくさんあるが、ソロ温泉には少々向かない。

ひとりで「空白の時間」を満喫するには、観光客が少ない静かな温泉地が向いている。「わざわざ日帰りで訪ねるような場所ではないが、古くから湯治場として細々と続いてきたような温泉地」がソロ温泉には適している。

②自然を感じられる環境

都市部にあるにぎやかな温泉地よりも、山や川、湖など自然豊かな環境のほうが、自分や湯とひとり向き合うには向いている。

日常生活を離れ、いつもと違う環境に身を置くと、五感が刺激され、呼吸や消化などを司る自律神経が正常化し、心身が元気になったり、リラックス効果が得られるといわれる。これを「転地効果」というが、自然豊かな環境ほど、この転地効果を期待できる。

自然に囲まれていると、ひとりでも孤独を感じず、癒される気持ちになるから不思議だ。

③アクセスが少し不便

上記2つのポイントを踏まえると、温泉地へのアクセスは少々不便なケースが多くなる。

友人や家族との温泉旅行の場合、現地へのアクセスはよいほうが便利だろう。観光やグルメを楽しむには、効率よく時間を使う必要があるからだ。

だが、ソロ温泉の場合はひとりなので、移動もマイペースでかまわない。たとえば新幹線を使わず、時間が許す限りローカル線を使ってゆっくりと車窓の景色を愉しむのもオツである。チェックインの時間までに温泉宿に到着すれば問題ない。

観光客でにぎわう温泉地は、たいていアクセスがすぐれている。少しアクセスが悪いくらいの温泉地のほうが、人も少なく、ひとりの時間を静かに過ごすには最適である。

④温泉の質が高い

ソロ温泉は、温泉が主役の旅である。だからこそ、温泉の質にはこだわりたい。

最も重要なのは鮮度である。新鮮な湯ほど気持ちよく、効能も高い。湯の鮮度を左右するのは湯量だ。豊富に湧き出している温泉地ほど、贅沢に源泉をかけ流すことができる。

古くから湯治場として栄えてきたような温泉地は、総じて湯量も豊富である。

⑤共同浴場がある

いい温泉地には、いい共同浴場がある。これは、温泉好きなら納得してもらえるであろう「温泉の法則」のひとつである。共同浴場が健在ということは、地元の人が温泉を大事にしている証しでもある。その結果、源泉の質も高くなる傾向がある。

温泉地選びで迷ったら、評判のよい共同浴場のあるいで湯を選ぶといいだろう。

ひとりで共同浴場をふらっと訪ねて、地元の人と交流するのもソロ温泉の愉しみのひとつである。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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