まだ外国人観光客にバレていない「東京近郊のひなびた温泉地」5選
インバウンドが絶好調な昨今、温泉地でも外国人観光客の姿を多くみるようになった。地方の温泉地であっても、「こんなところまで外国人観光客が!」と驚かされることもある。
外国人に日本の文化である温泉の魅力を知ってもらえるのは、個人的には大変うれしい。「ようこそ日本の温泉へ!」と声を大にして言いたい。
だが、ひとり旅を好む筆者のように、温泉旅行に静かな時間を求める人にとっては、外国人に限らず観光客が多い温泉地は避けたいときもある。
そこで、まだ外国人観光客には気づかれていない、静かでひなびた風情が魅力の温泉地を、東京近郊エリアに絞って5カ所紹介したい。
沢渡温泉(群馬県)
強酸性の草津温泉と比べて、マイルドな泉質のため「草津の仕上げ湯」と呼ばれる。坂道に小さな旅館が並ぶ温泉地で、どこか懐かしい雰囲気が漂う。ゆっくりと一人静かな時間を過ごしたい人に向いているかもしれない。鮮度抜群の「沢渡温泉共同浴場」のほか、浴室が芸術的な美しさを誇る「まるほん旅館」など温泉好きに愛される温泉地。
鹿沢温泉(群馬県)
上信越高原国立公園内、ひょこう1500mに湯煙を上げる山の温泉地。一軒宿の鹿沢温泉「紅葉館」は、明治創業の歴史ある湯治場で、日帰り利用もできる。鄙びた風情がたまらない内湯には、緑色の濁り湯が掛け流し。湯の花が大量に舞う本格派だ。温泉ファンがわざわざ訪ねてくる源泉自慢の宿である。
湯宿温泉(群馬県)
新潟との県境の三国峠の手前にある小さな温泉地。歓楽要素は何もなく、共同浴場や湯治宿が並ぶ静かな温泉地で、「さびれている」と感じる人もいるかもしれないが、「鄙びている」と受け取るほうが正解。熱狂的なファンをもつ、つげ義春の『ゲンセンカン主人』の舞台となった街でもある。
下部温泉(山梨県)
山あいに佇む素朴な温泉地で、1200年の歴史をもつ古湯。歓楽的要素のない温泉街は、昭和の時代から時が止まってしまったのように静か。昔から湧く20~30度代のぬる湯が特徴で、温冷交互浴に励む湯治客も多い。夏場はベストシーンである。足元湧出の古湯坊源泉館のほか、湯治向けのレトロな温泉宿が多い。静かな温泉地で、ひとり旅にはもってこい。
北温泉(栃木県)
那須温泉郷の奥に位置する秘湯で、一軒宿の「北温泉旅館」が立つ。映画『テルマエ・ロマエ』のロケ地となった温泉としても知られる。木造の鄙びた建物は、玄関を入った途端、昭和の時代にタイムスリップしたような気分になる。湯量も豊富で、名物の内湯「天狗の湯」のほか、混浴できる大きな温泉プールもある。いかにも日本ツウの外国人が好みそうな宿だが、山奥の一軒宿ということもあり、静かな時間を過ごすことができる。