カルト宗教の見分け方:良い宗教と悪い宗教の違いは?
■カルト宗教(破壊的カルト)とは
安倍元総理銃撃事件の容疑者逮捕を機に、カルト宗教の問題が注目を集めています。あまり関心をもってこなかった世間が、今度は急に厳しい目を向け始めています。
しかし、カルト宗教が何か若rないままで批判はできません。見分け方の前に、まずカルト宗教とは何かを考えましょう。
「カルト」の本来の意味は、熱心な少数の人々を表します。ですから、「カルト的な人気がある映画」などと表現されます。ですから、これは何の問題もありません。
宗教の場合も、どんなに奇妙な教えでも、それを信じる自由があります。月に一度屋上に登り、UFOが来るように祈り踊っても、それ以外の生活に問題がなければ良いでしょう。
ところが、地球が滅び、UFOに救われるために、仕事や学校を辞めろ、1千万円献金しろとなると、それは「破壊的カルト宗教」と呼ばれることになるわけです。
■破壊的カルト宗教の特徴
・思考、感情、行動、情報のコントロール(マインドコントロール)を行います。
・一般社会や信者以外の人間の敵視、蔑視、軽視など。
・規模:いろいろ(世界的組織から、少数カルト、個人カルトも)
・教祖:個人教祖の特徴、存在の有無などは、いろいろ。多様です。
・信者のライフスタイル:厳しいものから不道徳なものまで、いろいろです。お金にうるさい団体、時間管理にうるさい団体、男女交際に厳しい団体や、sex教団などと言われる団体まで。
・教祖、または教団組織への絶対服従:教義が変わったときには、自分の考えもそれに合わせることになります。アメリカに本部があると、信者が読むものは全てアメリカの本部が出版したものの翻訳だけだったりします。
・批判的思考の否定:考えてはいけないと教えられたりします。
・目的のための手段の正当化:違法なことも教祖のためなら良いなどと考えます。
・世界観の分化:教団組織は善、それ以外は悪。他の宗教グループの否定。学校とか警察とか政府、国連などを全面否定することもあります。
・救いや、心の平和は、教団組織に従うことによってのみ得られると教えられます。
伝統的なキリスト教なども、教会の存在を重視します。しかし、救いは、信者と神との個人的関係にあると教えます。神を信じる者が救われるのであって、教会や牧師に従う者が救われるのではないわけです。
・脱会者には、恐ろしい制裁がくだされる
一般の宗教であれば、その宗教団体から脱会しても、入会前の状態に戻るだけです。それに対して、脱会すると、前よりももっとひどい目に合うと教えます。
・教団組織を個人より優先する、全体主義的体制。
・これまでの人間関係や人生の目標など、過去との断絶をさせる。
*全ての破壊的カルトが上記の特徴全てを持っているわけではありません。また、客観的には上記の特徴があっても、信者である本人は、全く気づかない方が普通です。
■破壊的カルトのチェックリスト
次の項目をチェックしてみましょう。
・勧誘方法は良心的か(正体を隠した勧誘などしていないか)
・教祖や教団組織に盲従するようにしていないか
・教団組織の外の世界を極端に悪く言わないか
・信者の個性を尊重するか
・異常に厳しい生活上の決まりはないか
・外部の情報を自由に得られるか、またそれらの情報への態度はどうか
・伝統的宗教を極端に軽蔑していないか
・一般の学校への進学に積極的か消極的か
・信者の自主性やプライバシーを尊重しているか
・信者の過去の出来事や人間関係をバカにしていないか
■良い宗教と悪い宗教
ここでは、宗教の教義については触れません。本人の様子と、教団組織のシステムについて考えます。
良い宗教
・信仰のシステムは開放的で、他の思想にも耳を傾ける
・批判能力はそのままか、強められる
・自主性はそのままか、強められる
・価値観や生活や目標が、信仰と一体化し、調和している
悪い宗教
・教団の操作や圧力によって改宗した
・完全主義で他の考えを認めない
・批判的な考えは否定され、批判能力が脅かされる
・自主性が失われる
・これまでの人間関係や大切な過去を否定する。全体として調和していない
・経済的、精神的に教団から搾取される(お金を山ほど取られたり、その宗教以外のことに人生のエネルギーを使えなくなったり)
■カルトと一般宗教
宗教なんて、カルトも含めてみんな同じだという人もいます。しかしそれは、商売なんて、みんな詐欺商法と同じだいうようなもので、乱暴なまとめ方でしょう。
医者も刃物を使った通り魔も、刃物で体を切るのは同じと言うのは、医師を侮辱するか、通り魔を利することになるでしょう。
伝統宗教の中にも問題のある団体はありますが、宗教との健全な付き合い方を学びたいと思います。
参考『カルト教団からわが子を守る法 』 (反カルト宗教緊急翻訳出版)
J.C.ロス、M.D.ランゴーニ 著 多賀幹子 訳 朝日新聞社