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尾川の薬物陽性反応のニュースを聴いても、喜びも腹を立てもしなかった テビン・ファーマー・インタヴュー

杉浦大介スポーツライター
Photo By Ed Diller/DiBella Entertainment

テビン・ファーマー

 12勝4敗という短いアマキャリアを経て2011年にプロデビュー。最初の12戦では7勝(1KO)4敗1分という見栄えのしない成績だったが、以降以降は18連勝で初のタイトル戦に辿り着いた。12月9日、ラスベガスのマンダレイベイ・リゾート&カジノ内にあるイベンツセンターで尾川堅一(帝拳)とのIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦に臨むも、1-2の際どい判定負け。しかし、その後に尾川が試合前の禁止薬物検査で陽性反応を示していたことが発覚し、ファーマーの名前も改めて注目されることになった。

*今回のインタヴューはエロール・スペンスJr.(アメリカ)対ラモン・ピーターソン(アメリカ)が行われた1月20日のバークレイズセンターで収録された

自分が再びタイトル戦再出場のチャンスが得るべき

ーー尾川選手が薬物検査で陽性反応を示したというニュースを聴いて、最初はどんなリアクションでしたか?背景を考えると、尾川が故意に禁止薬物を使用したとは信じ難く、本人、ジム側もそう発表しています。

TF : ハッピーだったわけでも、腹が立ったわけでもない。そういうことか、と思った。彼が今後にどうなるかに関しては俺は興味はない。ただ、“これでまたタイトル戦のチャンスが来るだろうな”と感じたのは事実だ。

ーー去年はあなたにとって波乱の年でしたが、また新たな1ページが加わった感じですね。

TF : 2017年は4月に右腕の上腕二頭筋を断裂して、7月には銃撃を受けながら、12月にはタイトル戦にこぎ着けた。8ヶ月ぶりの実戦となった尾川戦でもやるべきことはできていたと思う。尾川は俺よりもサイズに恵まれていて、さらに薬物の力を借りていたんだとしたら、なおさら俺の戦いは評価されてしかるべきのはずだ。

ーー試合のフィルムを見たと思いますが、改めてどんな印象でしたか?

TF : 初回から4回までは彼も攻勢だったかもしれないが、5回から最終ラウンドまで主導権を握ったのは俺の方だ。5ラウンド以降に前に出ていたのは俺だったはずだ。彼が何発か良いパンチを当てたのは認めるけど、やりたいことができていたのはテビン・ファーマーの方だ。

ーー可能な限りで今後の予定を話してください。 

TF : IBFタイトルが空位になるとしたら、俺が再びその王座決定戦に出ることになるだろう。そうなってしかるべきだよ。相手は誰だって構わない。

ーー次のリング登場はいつになりそうですか?

TF : 次のファイトは4、5月の予定だけど、できれば4月にはリングに立ちたいと思っている。俺は常にコンディションは整っているから、その気になれば3月にだって試合はできる。もちろんビジネスだからどうなるかは分からないが、早く試合がしたいとアピールしていくつもりだ。

ーーもうトレーニングは始めているのですか?

TF : 2週間前に始めたよ。もう長いラウンドのスパーリングも行っている。

ーー2018年は何を成し遂げ、どんな年にしたいですか?

TF : 必ず世界チャンピオンになりたい。そしてその後に防衛を2度くらい果たせたら、まずは満足できるだろうな。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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